硯蓋(読み)スズリブタ

デジタル大辞泉 「硯蓋」の意味・読み・例文・類語

すずり‐ぶた【×硯蓋】

硯箱のふた。古くは、花や果物などをのせるのにも用いた。
祝儀の席で、口取りざかななどを盛る盆状の器。また、そのさかな

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精選版 日本国語大辞典 「硯蓋」の意味・読み・例文・類語

すずり‐ぶた【硯蓋】

〘名〙
① 硯箱のふた。古くは、花、果物、菓子などを載せるのに用いた。すずりのふた。
古今著聞集(1254)五「硯蓋に紅の薄様を敷きて、雪をもちていだされたるに」
② 祝いなどの席で、口取りざかななどを盛る盆状の容器。また、その口取りざかな。
洒落本・禁現大福帳(1755)四「鰍(いなだ)の指身(さしみ)硯蓋(スズリブタ)には鶏卵はなれず」

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改訂新版 世界大百科事典 「硯蓋」の意味・わかりやすい解説

硯蓋 (すずりぶた)

酒のさかななどを盛るのに用いた器で,江戸時代に使われた。すずり箱の蓋に薄様(うすよう)などの紙を敷いて,菓子,木の実,果物,ときには雪のようなものさえ盛って供することは,平安期以降しばしば見られたことであるが,そのすずり箱の蓋を独立した食器として作るようになったのがすずり蓋である。山東京伝は《骨董こつとう)集》の中で,〈重箱に肴(さかな)を盛(もる)ことは元禄の末にすたれ,硯蓋に盛ことは宝永年中に始りしとおもはる〉といい,喜多村節信(ときのぶ)も《嬉遊笑覧》にほぼ同じ見解を示している。《料理早指南》(1801)や《四季献立集》(1836)は,汁,なます以下饗膳(きようぜん)の献立例を掲げる中に〈硯蓋之部〉を設けて,それに盛るべき料理を紹介しているが,その大半はかなり技巧的なものである。現在ならば口取の類のものが多いのだが,《四季献立集》には別に〈口取之部〉があり,すずり蓋の料理と口取のそれとの区別があったかどうかははっきりしない。
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食器・調理器具がわかる辞典 「硯蓋」の解説

すずりぶた【硯蓋】

➀硯箱のふた。古くはこれに、花、果物、菓子などをのせて用いた。
➁➀に似た方形の盆状のうつわ。祝儀の席で、口取り肴(くちとりざかな)を盛るのに用いた。また、その料理。

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普及版 字通 「硯蓋」の読み・字形・画数・意味

【硯蓋】けんがい

硯の蓋。

字通「硯」の項目を見る

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