酒のさかななどを盛るのに用いた器で,江戸時代に使われた。すずり箱の蓋に薄様(うすよう)などの紙を敷いて,菓子,木の実,果物,ときには雪のようなものさえ盛って供することは,平安期以降しばしば見られたことであるが,そのすずり箱の蓋を独立した食器として作るようになったのがすずり蓋である。山東京伝は《骨董(こつとう)集》の中で,〈重箱に肴(さかな)を盛(もる)ことは元禄の末にすたれ,硯蓋に盛ことは宝永年中に始りしとおもはる〉といい,喜多村節信(ときのぶ)も《嬉遊笑覧》にほぼ同じ見解を示している。《料理早指南》(1801)や《四季献立集》(1836)は,汁,なます以下饗膳(きようぜん)の献立例を掲げる中に〈硯蓋之部〉を設けて,それに盛るべき料理を紹介しているが,その大半はかなり技巧的なものである。現在ならば口取の類のものが多いのだが,《四季献立集》には別に〈口取之部〉があり,すずり蓋の料理と口取のそれとの区別があったかどうかははっきりしない。
執筆者:鈴木 晋一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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