社会主義改造(読み)しゃかいしゅぎかいぞう(英語表記)Shè huì zhǔ yì gǎi zào

改訂新版 世界大百科事典 「社会主義改造」の意味・わかりやすい解説

社会主義改造 (しゃかいしゅぎかいぞう)
Shè huì zhǔ yì gǎi zào

現代中国において,1953年提起された過渡期の総路線の課題の一つ。プロレタリア独裁下で生産手段の私有制を社会主義的な公有制に変革することをいう。これには農業手工業資本主義商工業の社会主義改造が含まれる。まず農業の社会主義改造について言えば,協同化を通して小農経済を社会主義的集団経済へと改造した。小農経済は分散的で遅れており,生産力が低くて工業化と人民の生活の必要を満たすのに不適当であった。したがって不安定でたえず両極分化にさらされ,自生的に資本主義を発生させる素地をもっていた。そのために,小農経済を改造し社会主義的な集団農業を行う必要があった。農業の協同化はこのためにとられた方法である。協同化は,互助組,土地の私有を基礎に土地を出資し統一経営を行う半社会主義的性質の初級農業生産合作社,土地と主要な生産手段を集団化した社会主義的性質の高級農業生産合作社形態を経て,56年には農家戸数の96%が農業生産合作社に参加し,所有制の面での農業の社会主義改造は完成した。

 手工業の社会主義改造も農業のそれとほぼ同じ方針に基づき,個人の単独経営の手工業を協同化を通して集団経済へと導くものである。56年末には手工業の合作社に参加した人数は手工業者総数の90%以上を占め,手工業の社会主義改造は完了した。最後に資本主義商工業の社会主義改造についてみれば,これは民族資本主義経済を各種形態の国家資本主義を通して社会主義の国営経済へと改造することを意味する。中国では革命に勝利した後,官僚資本を没収したが,民族資本に対しては二面性を備えているために没収せずに利用,制限,改造の政策をとり,平和的に改造する方法がとられた。このときに採用されたのが国家資本主義である。これは初級形態と高級形態に分かれる。初級形態の国家資本主義は,工業では加工,発注,統一買付け,一手販売,商業では取次販売,代理販売等の形態があり,企業の外部から資本家の私的経営をコントロールする方法である。高級形態の国家資本主義は公私合営であり,これは個別企業のそれと全業種のそれの2段階を経過した。以上のような国家資本主義の形態を通して,56年には全業種の公私合営が実現し,資本主義商工業の社会主義改造は基本的には終了した。なお,66年9月に国家は資本家に対する定額利息の支払いを停止し,公私合営企業は完全に社会主義の全人民所有制企業に転換した。こうして,農業,手工業,資本主義商工業の所有制の面での社会主義改造は,1956年に基本的に完了した。
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