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社会連帯主義 しゃかいれんたいしゅぎsocial solidarity

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

社会連帯主義
しゃかいれんたいしゅぎ
social solidarity

単なる機械的,自然主義的個人主義に対立する思想で,社会の進化に伴って発生した個人化と社会化との矛盾を,対立としてではなく,調和の条件として把握する理論。 A.コントの実証主義を深化させた É.デュルケムが,分業と連帯との関係を研究した『社会的分業論』 (1893) において理論的に展開した。デュルケムによれば,社会分化に適応した社会連帯が行われる社会状態が正常な社会である。そしてかかる連帯は本来測定不可能な道徳的な現象ではあるが,法律に具象化することができる。したがって政治権力は正常な社会を保持するような法律を制定するべきである。このような社会連帯を理念とする思想は,単にデュルケムのみではなく,イギリス社会主義者たち,なかんずく H.ラスキ,R.トーニー,G.コールらに看取される。政治家としては,フランスの急進社会党に属していた L.ブルジョアがこれを政治的に主張した。

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大辞林 第三版の解説

しゃかいれんたいしゅぎ【社会連帯主義】

社会を構成する個人または集団の間では、相互依存と相互扶助が社会生活の原理であり義務であるとする思想。アリストテレスに始まり、中世のスコラ哲学を経て、近代ではフランスのレオン=ブルジョアが提唱した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

社会連帯主義
しゃかいれんたいしゅぎ
solidarisme socialフランス語

フランス第三共和政下におもにレオン・ブルジョアが提唱した社会哲学。フランスでは社会学者コントが、社会的諸要素の全体的な相互連関を普遍的共働または連帯と規定して以来、連帯の概念は19世紀フランス社会哲学にしだいに定着し、19世紀末の社会学者デュルケームも、人々を結び付けて一つの社会を形成する絆(きずな)を連帯と規定し、諸個人の類似に基づく機械的連帯と、分業に基づく有機的連帯とを区別したが、上記ブルジョアの社会連帯主義は、「結社偽契約」の命題にたち、社会は、各人がそれに対して債務を負うている共同事業に参加した諸個人の連鎖以外のなにものでもないという。この考えから、契約当事者各個人が能力に応じて「社会的債務」を社会に返すところに正義が実現するとした。社会保障、累進課税、無償教育などがその実践的帰結であるが、急進派は所有と労働の一致も説いた。「新自由主義」の一つであると同時に「社会平和主義」でもある。[古賀英三郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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