出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
フランス第三共和政下におもにレオン・ブルジョアが提唱した社会哲学。フランスでは社会学者コントが、社会的諸要素の全体的な相互連関を普遍的共働または連帯と規定して以来、連帯の概念は19世紀フランス社会哲学にしだいに定着し、19世紀末の社会学者デュルケームも、人々を結び付けて一つの社会を形成する絆(きずな)を連帯と規定し、諸個人の類似に基づく機械的連帯と、分業に基づく有機的連帯とを区別したが、上記ブルジョアの社会連帯主義は、「結社偽契約」の命題にたち、社会は、各人がそれに対して債務を負うている共同事業に参加した諸個人の連鎖以外のなにものでもないという。この考えから、契約当事者各個人が能力に応じて「社会的債務」を社会に返すところに正義が実現するとした。社会保障、累進課税、無償教育などがその実践的帰結であるが、急進派は所有と労働の一致も説いた。「新自由主義」の一つであると同時に「社会平和主義」でもある。
[古賀英三郎]
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