外交や安全保障に関する重要秘密を「特別管理秘密」とし、これを扱う国家公務員の適格性を調べる制度。日本政府が2007年(平成19)8月に策定した「カウンターインテリジェンス(防諜(ぼうちょう))機能の強化に関する基本方針」に基づいて定められ、2009年4月から導入された。国家機密の漏洩(ろうえい)を防ぎ、スパイ活動から国家機密を守ることを目的とする制度である。外務、防衛、内閣官房、警察、経済産業など22府省庁の国家公務員を対象に実施している。2012年6月末時点で6万4361人の公務員が対象者となった。同制度に秘密漏洩に対する罰則規定はないが、国家公務員法の守秘義務違反(最高懲役1年)が適用される見込みである。調査内容や運用実態の詳細について政府は公表していないが、本人および配偶者や親族の国籍、借金の有無などの経済状況、交友関係、精神疾患などの通院・治療歴、薬物・アルコールの影響、犯罪・懲戒処分歴、外国への渡航歴などが、本人の同意を得ずに調査されたものとみられる。また、特別管理秘密の漏洩を避けるため、適格者となった国家公務員から身上明細書や誓約書を提出させていたという報道もあった。
同制度の存在は、2012年に社民党党首福島瑞穂(ふくしまみずほ)(1955― )の国会質問主意書に対し、政府が答弁書を閣議決定したため公式に明らかになった。秘密取扱者適格性確認制度の根拠法令はないが、内閣情報調査室は「任命権者の権限の範囲内で実施しており、法的問題はない」としていた。なお、2013年に特定秘密保護法が成立したことで、民間人を含む特定秘密取扱者の適性を評価する制度の根拠法令が整った。
[編集部]
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