秦九韶(読み)しんきゅうしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「秦九韶」の意味・わかりやすい解説

秦九韶
しんきゅうしょう

生没年不詳。13世紀中国、宋(そう)代末に活躍した数学者四川(しせん)の人。字(あざな)は道古。諸学に通じ、1240年ごろ建康府(現在の南京(ナンキン))で役人となった。晩年は梅州(広東(カントン))の知事となり、そこで死去した。著書に『数書九章』18巻がある。自序によれば1247年(淳祐7)9月に完成したもので、『九章算術』に倣って、全編大衍(だいえん)類、天時類、田域類、測望類、賦役類、祭穀類、営建類、軍旅類、市物類の9類に分けている。初めの2類は暦法に、他の7類は政治・軍事・市場などに必要な数学問題を扱っている。注目されるのは大衍求一術とよばれる不定方程式の一種が載っていることで、日本の和算で翦管術(せんかんじゅつ)とよばれるものである。

[大矢真一]

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改訂新版 世界大百科事典 「秦九韶」の意味・わかりやすい解説

秦九韶 (しんきゅうしょう)
Qín Jiǔ sháo

13世紀に活躍した中国の南宋時代の数学者。生没年不詳。字は道古,四川の人。《九章算術》にならって,1247年(淳祐7)に《数書九章》18巻を著した。全編を9類に分け,最初の2類は暦法の問題,後の7類は賦税・軍事・市場などに必要な数学の問題を合計81問収めている。一次同余式の解法の大衍求一術,高次方程式の正根を求める正負開方術なども扱われ,雨量積雪量を量る問題や,小円を用いて零を表した記事も見える。
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百科事典マイペディア 「秦九韶」の意味・わかりやすい解説

秦九韶【しんきゅうしょう】

中国,宋末の数学者。生没年不詳。四川省の生れ。著書《数書九章》18巻(1247年)は《九章算術》にならって具体的・実用的な数学の問題を扱ったもので,ゼロの記号に小円を用い,一次不定方程式を扱い,高次方程式の根の近似値を求めるW.G.ホーナーの方法(1819年)とほぼ同様な解法を与えた。日本には伝わらなかった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「秦九韶」の意味・わかりやすい解説

秦九韶
しんきゅうしょう
Ch`in Chiu-shao

中国,南宋の数学者。著書に淳祐7 (1247) 年刊の『数書九章』 (18巻) がある。雨量観測法,大衍求一術などは彼の先駆的業績として注目される。

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世界大百科事典(旧版)内の秦九韶の言及

【中国数学】より

…これは17世紀のフランス人哲学者パスカルにちなんで〈パスカルの三角形〉と呼ばれるものに一致する。 南宋治下の数学者には,秦九韶および楊輝が有名である。秦九韶は《数書九章》(1247)を著したが,そこに説かれた〈大衍求一術〉は不定方程式を論じたものである。…

※「秦九韶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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