翌年度以降の税制の見直しや中期的な検討課題などを示した文書。自民、公明両党の税制に詳しい議員で構成する税制調査会が秋から議論を本格化させ、省庁や業界団体の要望も踏まえて具体的な改正の内容を検討。国税は財務省、地方税は総務省と調整し、12月に与党の大綱を取りまとめる。政府は与党の大綱をほぼ踏襲した大綱を閣議決定し、年明けの通常国会に関連法案を提出する。
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経済・国際情勢の変化などにあわせ、日本の税金のあり方から課税対象、個々の税率変更などについて網羅的にまとめた方針。例年、与党と政府がそれぞれ、秋口から議論を開始し、翌年度の予算編成に先だつ12月中旬ごろにまとめる。政府が翌年1月の通常国会に提出する税制改正関連法案にそのまま反映される。景気対策、雇用促進、環境対策、少子・高齢化対策、企業支援、地価対策・土地問題、財政健全化、災害対策などその時々の最重要課題に対処し、所得、消費、投資、相続、法人などに関する増税、減税、新しい税の仕組みなど、税制改正の内容を細かく定めている。大綱決定で翌年度の国と地方の税収見通しがたつほか、国民の暮らしや消費、投資、貯蓄、民間企業の事業計画などに大きな影響を与えるため、利害関係者の調整が難航する場合が多く、内容への注目度が高い。
かつて自民党単独政権下では、自民党税制調査会が経済界、民間の各業界、自民党各調査会・部会、中央省庁、地方自治体などの意見を聞いて党税制改正大綱を策定し、政府は党大綱に沿って政府大綱を決めるにすぎなかった。このため自民党税制調査会はもっとも権威のある調査会とされ、その会長には「インナー」とよばれる税制に詳しいベテラン議員による非公式幹部会のメンバーが就任し、「税調のドン」として税制改正論議を主導していた。
1993年(平成5)以降の非自民連立政権、自民・社会・さきがけ政権、自民・公明・保守政権などの連立政権時代には、連立与党がプロジェクトチームなどを立ち上げ、税制改正大綱を策定した。2009年(平成21)からの民主党政権下では、限られた人物に権限が集中する自民党政権時代の反省から党税制調査会を廃止し、政府が税制改正大綱を決める方針に改めた。しかし、利害が錯綜(さくそう)して調整が難航するガソリン税減税などの問題では最終的に党の要望に従わざるをえず、民主党政権後期には、党税制調査会を復活して税制改正論議を進めた。2012年の政権交代後は、自民党と公明党が党内の要望を持ち寄って与党税制改正大綱を決めている。しかし首相安倍晋三(あべしんぞう)の強い意向を受け、復興特別法人税を前倒しで廃止し、法人実効税率の引下げ議論を始めるなど、官邸主導色が強まっている。与党と政府のいずれが主導権を握って税制改正大綱を決めるのかは、その時々の政権の権力の所在をみるバロメーターということもできる。
[編集部]
(2015-12-14)
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