穀物法[イギリス](読み)こくもつほう[イギリス](英語表記)Corn Laws

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

穀物法[イギリス]
こくもつほう[イギリス]
Corn Laws

広義には穀物の輸出入を規制した中世以来の議会立法の総称。特に重要なのはナポレオン戦争終結直後に成立した 1815年の穀物法で,地主階級のために穀価の高水準を維持する必要から,国内価格が1クォーター 80シリングに達するまで外国産小麦の輸入禁止を規定した (植民地産小麦の場合は 67シリングまで) 。その後 28年の立法で穀価の変動に応じて輸入関税率を増減する制度に改められたが,地主階級の支配温存のための悪法として広く中産階級の非難を巻起し,政治上の一大争点となった。特に 39年 R.コブデン,J.ブライトらの自由貿易論者によって「反穀物法同盟」が結成されて以来,反対運動は全国的に組織化され,R.ピール保守党内閣は 45年の全国的凶作アイルランドの飢饉の直後ついに穀物法の廃止を決意し,翌 46年保守党の分裂を賭してこれを断行した。しかし穀物法廃止論の経済的根拠は誇張されたきらいがあり,イギリス農業はむしろこの後,19世紀なかばに空前の繁栄期を迎えた。穀物法廃止運動の意義は,むしろ地主の支配をめぐる社会的,政治的な対立,闘争にあったというべきであろう。

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