デジタル大辞泉
「空電」の意味・読み・例文・類語
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くう‐でん【空電】
- 〘 名詞 〙 無線受信器に雑音として受信される電波。大気中の放電や落雷などの自然現象によって発生する。周波数範囲はきわめて広く、特に長波帯への電波妨害が著しい。〔現代術語辞典(1931)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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空電
くうでん
atmospherics
sferics
地球上の自然源から発生する電磁波。おもな原因は雷放電である。約100キロメートル以内に雷があると、中波ラジオ受信機にガリガリという雑音として入ってくる。継続時間は1000分の数秒にすぎないが、発生源の近く(10キロメートル以下)では、数十ヘルツから数ギガヘルツまでの周波数成分を含んでおり、エネルギーの最大は10キロヘルツあたりにある。しかし周波数が高い成分ほど距離に対する減衰が大きいので、数千キロメートル以上の遠距離からくる空電には、約10キロヘルツの成分だけが残っている。
空電は電波通信を妨害するが、反面その源を探知することによって、気象観測網から漏れた雷の位置を探知することができる。今日では、雷放電から放射される空電を多地点で同時受信し、データを一局に集めて解析し、雷放電の位置を決定するシステムが開発され、LLP、LPATS、SAFIRなどの名で商品化されており、日本でも数社がそれらを常備、運用している。
特殊な空電としては、地表と電離層を導波管として地球を周回するシューマン共振(基本波8ヘルツ)や、電離層を抜けて地球磁力線に沿って地球の反対側に伝播(でんぱ)するホイッスラ(音声周波域)もある。
[三崎方郎]
『金原淳著『空電』(1944・河出書房)』▽『佐尾和夫著『空電――雷の電波ふく射をめぐって』(1981・成山堂書店)』▽『日本大気電気学会編『大気電気学概論』(2003・コロナ社)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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空電 (くうでん)
atmospherics
sferics
雷(かみなり)放電から発生する電磁波をいう。空電は複雑な波形をもち,含まれる周波数は超長波からマイクロ波まで,無線周波の全域にわたっているが,振幅の最大は超長波帯の12kHzにあって,周波数の増加とともに急速に減少する。マイクロ波成分は可視距離以遠には伝搬しないが,長・中波成分は電離層反射によって数千kmの遠方まで伝搬し,雑音となって通信を妨害する。従来は遠距離通信の雑音防止の立場から空電の研究が行われてきたが,最近では電離層,地球磁場の状況を反映する電磁波として宇宙・地球物理学astrogeophysicsの立場から研究が行われている。
執筆者:北川 信一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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空電
くうでん
atmospherics
雷放電によって発生する電磁波。大気中の放電現象に伴って発生し,無線電信機などに雑音として受信される低周波電波。発生源となる放電現象は,電光,雷鳴を伴う雷放電が最も顕著なもので,その電波としての振動波形は数十Hzから数千MHzの範囲にわたり不規則である。一般に波長の長い成分のほうがエネルギーが強く(10kHz付近が最大),長波受信機のほうが空電の妨害を受けやすい。また発生源が半径 100km程度以内にあるときは,家庭用のラジオの中波も妨害される。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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空電【くうでん】
雷(かみなり)放電によって生ずる電磁波。周波数は10kHz前後で,ラジオ受信などの雑音電波となる。発生源から2000km遠方でも捕捉(ほそく)できるので,電波の方向探知機で空電発生源としての台風,ハリケーンなど激しい気象じょう乱の存在を探知できる。最近では電離層,地球磁場の状況を反映する電磁波として,宇宙・地球物理学の立場から観測が行われている。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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