翻訳|waveguide
電波の伝送に用いる金属パイプ。無線送信機から送り出す電波をアンテナに導いたり送信装置や受信装置の内部で電波の回路を形成したりするのに用いる。無線周波数が約3ギガヘルツ以下では、おもに同軸ケーブルが用いられるが、それより周波数が高いマイクロ波の領域では、同軸ケーブルでは、大きな減衰が生じるようになる。他方、電波を伝搬させる方法によると、金属パイプの形状を適切に選ぶと減衰を非常に小さくすることができる。それが導波管であって、パイプの材質は銅が一般的であり、パイプの断面形状は長方形または円形である。
電波は導波管の壁で限られた空間を伝搬し、導波管の内面のごく薄い表面には電流が流れるが、導波管の外面にはまったく電流が流れないので、電波のエネルギーが外部に逃げ出すことがない。
導波管の断面形状は、方形または円形が基本となっているが、それらを変形した楕円(だえん)形や繭(まゆ)形もあり、その断面寸法は伝送可能な最低周波数(遮断周波数)により決定される。
[坪井 了・三木哲也]
導波管のもっとも基本的なタイプであり、加工もしやすい形状であることから多用されている。初期のマイクロ波方式においては、送受信装置とアンテナの接続にはすべて方形導波管が使用されていた。伝送損失を軽減するには円形導波管が適していたが、円形導波管は曲りなどの工作が困難なこともあって、鉄塔から屋内までの導入部ならびに屋内配管には方形導波管が一般に用いられている。方形導波管の遮断波長λ(ラムダ)は、断面における辺の長さをa、b(a>b)とすると、λ=2aで与えられる。
[坪井 了・三木哲也]
方形導波管は周波数が高くなるにしたがって損失が大きくなることから、高い周波数では円形導波管が使われることが多い。円形導波管の遮断波長は、管の半径rで決まり、λ=3.42rで与えられる。長尺の導波管の配管を行う場合、温度変化による導波管の伸縮あるいは風による振動等を吸収するため、可撓性(かとうせい)のある導波管が必要となる。可撓性をもたせるには長手方向に波状のひだをつけることで曲げやすくするが、それには断面が方形よりも円形のほうが加工しやすいことから円形導波管が用いられる。円形の変形として楕円導波管および繭形導波管がある。
[三木哲也]
『桑原守二著『マイクロ波通信』(1981・電気通信協会)』
マイクロ波帯からミリ波帯の電磁波を伝送するための金属製のパイプで,中空部分を電磁波が伝わる。断面は円形または長方形のものが多く,銅または黄銅のパイプの内壁に銀めっきをしたものがよく使われる。その断面の形状と寸法できまる遮断波長があって,これより長い波長(低い周波数)の電磁波は伝わらない。中を伝わる電磁波の電界ベクトルが電磁波の伝わる方向に垂直なときをTEモードと呼び(図),磁界ベクトルが垂直なときにはTMモードと呼ぶ。高い周波数の電磁波は導波管中をいろいろなモードで伝わることができる。導波管の内壁に誘電体をつけ,損失を減らしたり,多くのモードが伝わらないようにした導波管もある。導波管を分岐させたり合流させたり,あるいは壁面に穴をあけて互いに結合させたりして電磁波の流れを制御する導波管回路を立体回路と呼ぶ。
執筆者:岡部 洋一
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