窪俊満(読み)くぼしゅんまん

百科事典マイペディア 「窪俊満」の意味・わかりやすい解説

窪俊満【くぼしゅんまん】

江戸後期浮世絵師。姓は窪田。初め楫取魚彦を師とし春満と号したが,のち北尾重政師事して俊満と改めた。左ききのため尚左堂ともいう。落ち着いた色調の鳥居清長美人画を得意とし,また戯作狂歌沈金彫,貝細工など多芸多能であった。
→関連項目紅嫌い

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改訂新版 世界大百科事典 「窪俊満」の意味・わかりやすい解説

窪俊満 (くぼしゅんまん)
生没年:1757-1820(宝暦7-文政3)

浮世絵師北尾重政門人。尚左堂とも号し,狂歌や戯作(げさく)の場合には南陀伽紫蘭(なんだかしらん)と名のった。楫取魚彦(かとりなひこ)に学んだと《一話一言》にあるように,浮世絵師としては高い教養をもっていたと思われる。美人画を得意とし,画風は鳥居清長に近い。錦絵技法一種で,意識的に色数を制限した〈紅嫌い〉の作に優秀なものが多い(《六玉川(むたまがわ)》など)。肉筆画にもこの画法を用いて成功している。
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朝日日本歴史人物事典 「窪俊満」の解説

窪俊満

没年:文政3.9.20(1820.10.26)
生年:宝暦7(1757)
江戸後期の浮世絵師。窪,あるいは窪田氏で,俗称易兵衛。住居は江戸の小伝馬町,亀井町などが伝わっている。画号は他に春満,尚左堂など。絵は揖取魚彦,のち北尾重政に学び,安永(1772~81)中期ごろから洒落本挿絵などを手懸け,作画活動を始めている。天明期(1781~89)には鳥居清長に近い画風の美人錦絵を数多く描いたが,画趣は派手さがなく穏やかで清楚である。また,天明末期から文化期(1804~18)にかけては肉筆の美人風俗画も多く描いている。寛政期(1789~1801)以降は私家版の摺物の作画に主導的な役割を果たし,300点を超える遺品が確認されている。さらに絵師として以外にもすぐれた狂歌師戯作者としての顔も持ち,それぞれ一節千杖,南陀伽紫蘭の号で名高い。

(内藤正人)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「窪俊満」の意味・わかりやすい解説

窪俊満
くぼしゅんまん

[生]宝暦7(1757).江戸
[没]文政3(1820).9.20. 江戸
江戸時代後期の浮世絵師。本姓を窪田,通称を易 (安) 兵衛。春満のち俊満,また左ききのため尚左堂とも号した。楫取魚彦 (かとりなひこ) ,北尾重政 (→北尾派 ) に師事。美人画や狂歌摺物 (すりもの) の画作が多く,意図的に色数を減らす「紅嫌い」の技法によって秀作を残した。また黄山堂,南陀伽紫蘭 (なんだかしらん) の名で戯作を,一節千杖 (ひとふしせんじょう) の名で狂歌をよくし,塩辛房 (しおからぼう) と称して俳諧の分野でも活躍した。主要作品『六玉川図 (むたまがわず) 』 (ミネアポリス美術館) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「窪俊満」の意味・わかりやすい解説

窪俊満
くぼしゅんまん
(1757―1820)

江戸後期の浮世絵師。窪田あるいは窪氏。通称易兵衛。画号は初め春満、のち俊満、狂歌号は一節千杖(ひとふしちづえ)、俳号は塩辛房(しおからぼう)、戯作(げさく)号は南陀伽紫蘭(なんだかしらん)、また左筆ゆえ尚左堂とも号した。北尾重政(しげまさ)の門人ながら、鳥居清長の影響を受けた気品に富む美人画を得意とした。錦絵(にしきえ)や版本の挿絵という浮世絵師通例の仕事のほか、肉筆画と狂歌摺物(すりもの)の制作がことに多い。狂歌、俳諧(はいかい)、戯作に自ら親しみ、江戸の軟文学界と交渉の深い才人であった。代表作に「紅嫌い」の版画『六玉川(むたまがわ)』(大判六枚続)がある。

[小林 忠]


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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「窪俊満」の解説

窪俊満 くぼ-しゅんまん

1757-1820 江戸時代中期-後期の浮世絵師。
宝暦7年生まれ。楫取魚彦(かとり-なひこ)に画と歌をならい,北尾重政(しげまさ)の門にはいる。左利きで尚左(しょうさ)堂とも号し,美人画にすぐれた。石川雅望(まさもち)に狂歌をまなび,狂歌摺物(すりもの)・版本の挿絵もおおい。南陀伽紫蘭(なんだかしらん),塩辛房(しおからぼう)の号で,戯作(げさく),俳諧(はいかい)にも才を発揮。文政3年9月20日死去。64歳。江戸出身。本名は窪田易(安)兵衛。作品に錦絵(にしきえ)「六玉川(むたまがわ)」など。

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