立ち往生(読み)たちおうじょう

故事成語を知る辞典「立ち往生」の解説

立ち往生

立ったまま死ぬこと。ある地点で止まったり行き詰まったりしたまま、どうにもできなくなることのたとえ。

[使用例] どうせ家を出る時に、みずさかずきは済まして来たんだから、覚悟はとうからきめてるようなものの、いざとなって見ると、こんな所で弁慶立往生は御免こうむりたいからね[夏目漱石*明暗|1916]

[使用例] 時には走ってきて、徐行している車の前に立ちふさがり、さらにはボンネットの上に乗られて立往生したことなどもあった[藤原正彦*若き数学者のアメリカ|1977]

[由来] 「義経記―八」に描かれた、源義経の家臣、武蔵坊弁慶の死にざまから。平家を滅ぼすという大功を挙げた義経は、兄の頼朝にそねまれた結果、ころもがわ(現在の岩手県平泉町)で追い詰められて自害することになります。その際、弁慶は最後まで奮戦し、体中に矢が刺さったまま、長刀を杖にして、仁王立ちになって動きません。「剛の者は立ちながら死する事あると言うぞ」と考えた敵兵が、馬にのって恐る恐る近づくと、その震動でようやく倒れたのでした。敵兵たちは、「義経が自害するのを邪魔されないよう、守っていたのだろう」と言って、深く感動したということです。

[解説] ❶この話は伝説であって、史実ではありません。しかし、人々に語り継がれてきた結果、故事成語になったことも事実。悲劇の英雄、源義経とその家臣、弁慶がいかに庶民から愛されてきたかが、よくわかります。❷現在では、交通のトラブルなどで移動ができなくなる場合によく使われます。また、何かのアクシデントなどで、ものごとの進行ができなくなる場合に用いられることもあります。

〔異形〕弁慶の立ち往生

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

とっさの日本語便利帳「立ち往生」の解説

立ち往生

立ったまま死ぬこと。「往生」は死ぬことを意味する。ここから、途中で前にも後にも動けなくなることを意味するようになった。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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