イギリスの小児科医ローウェンフェルドM.Lowenfeldによって1929年に発表され,その後,スイスの分析心理学者カルフD.Kalffによって発展させられて現在の方法が確立された,心理療法の一技法。65年に河合隼雄が日本に紹介して以来,全国にひろがり大いに発展した。方法としては,内寸72cm×57cm×7cmの箱に砂を入れ,人,動物,植物,建築物,乗物などの玩具を適当に用意し,それらによって自由に箱庭の作品をつくり表現をしてもらう。この際,治療者と患者の間に治療的な人間関係が成立していることがたいせつであり,患者は〈自由にして保護された空間〉の中に自分自身の世界の表現をする。そのことによって患者の内的な自己治癒力が最大限に活性化され,治療者は箱庭作品に示された象徴を通じて患者を深く理解することができる。はじめは児童のための技法として考えられたが,現在は成人に対しても用いられ,相当な効果をあげている。
執筆者:河合 隼雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…子どもと治療者が1対1で行うが,1人の治療者が複数の子どもを扱うものを遊戯集団療法という。これらは遊びという一定のモデル状況をつくり出すことによって,自分の経験を処理し,見通し,さらに現実を支配する自我の成長をはかることを目ざしており,その理論や手技によって,児童分析(A.フロイト,M.クライン),児童中心法(アクスラインV.M.Axline),ユングの理論をとり入れた箱庭療法(D.カルフ)などがある。心理療法は基本的には患者のもつ自己治癒能力を最大限に発揮し,洞察へと導くものであるので,遊戯療法でもそれらの能力に限界のある精神遅滞児や脳障害児には行わないのがふつうである。…
※「箱庭療法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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