翻訳|granule
太陽の表面全体に分布している粒々の斑点。地上の空気の乱れの少ないときに,望遠鏡により太陽の拡大写真を色フィルターをかけて撮影すると,太陽面は多角形状のさしわたし約1000kmの明るい斑点におおわれていることがわかる(太陽半径は69.6万km)。斑点と斑点の間は細い暗い筋となって見える。肉眼で見える太陽表面は光球と呼ばれ厚さ約400kmの層であるが,そこではエネルギーの流れは放射で伝達されている。その直下に厚さ約20万kmにわたって対流でエネルギーが運ばれる層があるが,その最上層が光球をとおして見えるために,上昇する熱いガス塊が明るい斑点として見え,下降する冷たいガス塊が暗い線条となって見えている。明るさの平均値からの偏りは波長0.5μm付近の連続光で観測した場合に±20%弱,温度差に換算すると±200Kになる。なお,平均温度は約6400Kである。ガスが上下運動する速度は1km/s弱で,粒状斑の寿命は約8分である。太陽面には黒点などに強い磁場があるが,一般の場所にも数百から2000ガウス(=0.2T)にのぼる磁場があり,この磁場は粒状斑の暗い筋の中に見いだされることが多い。太陽と表面温度が同じかあるいは低い一般の恒星でも粒状斑はあるものと信じられている。
執筆者:平山 淳
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…これに対し光球より下の対流層では,対流によって熱が伝えられている。色フィルターを通して太陽面の拡大写真を撮ると,太陽全面が約1000kmの大きさの明暗の斑点に覆われていることがわかるが,この斑点を粒状斑と呼んでいる。これは対流の現れであり,光球層というフィルターを通して対流層の最上層を透かして見ていることになる。…
…光球のモデルは,エネルギーが放射の形で流出しているという放射平衡と,大気が静水平衡にあるという仮定から,今までに述べた種々の観測に合致するように導き出され,ほぼ完成の域に達しているといえよう。 黒点や白斑は光球の現象であるが,その外に,太陽像の良好な場合には,粒状斑が光球のほぼ全面を覆っているのが認められる。これらは1000km程度の大きさのふぞろいな多角形の構造であり,そのおのおのは8分くらいの寿命をもっている。…
※「粒状斑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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