終末時計(読み)シュウマツドケイ(その他表記)doomsday clock

翻訳|doomsday clock

デジタル大辞泉 「終末時計」の意味・読み・例文・類語

しゅうまつ‐どけい【終末時計】

doomsday clock核戦争によって人類滅亡するまでの時間を象徴的に表す時計。滅亡時刻を零時とし、残されている時間を分で表す。1947年に米国の科学誌に初めて掲載された。実物シカゴ大学にあり、2025年3月時点では零時の89秒前となっている。世界終末時計。→環境危機時計
[補説]零時に最も近づいたのは、各紛争地域での核兵器使用の懸念に加え、気候変動パンデミックなど世界的な問題も多発した2025年で、89秒前。最も遠ざかったのは冷戦終結から2年後、ソ連解体の行われた1991年の17分前。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「終末時計」の意味・わかりやすい解説

終末時計
しゅうまつどけい
doomsday clock

人類の滅亡までの残り時間を象徴的に表す時計。核戦争や原子力利用の失敗などによる危機を警告する目的で、人類が滅亡する時間を午前0時とし、それまでの残り時間を「0時まで何分」という形で示す。世界終末時計ともいう。アメリカのシカゴ大学で、終末時計のオブジェが管理されている。アメリカの科学誌『The Bulletin of the Atomic Scientists(原子力科学者会報)』が、1947年に表紙に「残り時間7分」として終末時計を初めて発表した。以降、核問題による緊張だけでなく、地球環境問題なども時刻の決定に反映させて、残り時間を毎年公表している。

 当初、残り時間7分から始まった終末時計は、アメリカとソビエト連邦による冷戦下の1953年には最短の残り2分になったが、両国が部分的核実験禁止条約を締結したことで、1963年には残り12分まで回復した。その後、冷戦が終結し、ソビエト連邦が崩壊すると、時計は残り時間17分まで戻った。しかし、インドパキスタンの核兵器保有宣言やイラン核開発などといった問題が相次いで起きたため、アメリカ大統領オバマによる核廃絶方針の表明にもかかわらず、時計の針は2010年に残り6分まで進んだ。さらに、2012年1月には、世界に核兵器拡散の懸念が高まったうえに、福島第一原子力発電所事故の影響も加わって残り5分となり、2013年、2014年も残り5分のままである。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「終末時計」の意味・わかりやすい解説

終末時計
しゅうまつどけい
doomsday clock

アメリカの科学雑誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミックサイエンティスツ』が毎号表紙に掲げている「地球最後の日」までの時間を表示する時計。核戦争の危機を訴え,1947年に初めて登場。米ソ冷戦の終結を迎えて,90年4月号では針を4分戻し,終末 (午前零時) 10分前とされている。時計の針が動かされたのは,初回から数えて今回で 13回目。このうち針を戻したのは6回であるが,米ソの対立が激化した 84年には破滅3分前に迫った。しかし 87年の米ソ首脳会談で6分前に戻された。なお 89年 10月号からは,環境問題も時刻の基準に加えられるようになった。

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