改訂新版 世界大百科事典 「経済発展の理論」の意味・わかりやすい解説
経済発展の理論 (けいざいはってんのりろん)
Theorie der wirtschaftlichen Entwicklung
J.A.シュンペーターの主著。第1版1912年,第2版26年刊。シュンペーターは,当時,方法も対象も未確定であった経済動学の理論を建設するために,まず〈経済静学〉の純粋理論の本質とその限界の吟味から出発した(《理論経済学の本質と主要内容》1908)。次いで彼は本書において,静学から駆逐された動学的問題群のうち,さしあたり理論的に処理しうるものとして〈企業者利潤,資本,信用,利子および景気の回転〉を取り上げ,発展過程において初めてその本領を発揮するこれらの現象の本質を解明した。この発展の理論の基礎をなすのが企業者・革新(イノベーション)にほかならない。なお第1版では最後の章で社会的発展一般の理論に論及しているが,第2版では,この章は削除され,本文にも大幅な改訂が加えられている。
執筆者:大野 忠男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報