碧山日録(読み)へきざんにちろく

百科事典マイペディア 「碧山日録」の意味・わかりやすい解説

碧山日録【へきざんにちろく】

京都東福寺内の霊隠(れいいん)軒の軒主であった太極(たいぎょく)の日記。書名は,太極が霊隠軒の一隅を〈碧山佳処〉と名づけて起居したことにちなむ。記事は1459年から1463年,および1465年と1468年のものが伝存する。応仁(おうにん)・文明の乱前夜の寺院や社会の動きなどを記述しており,寛正(かんしょう)の大飢饉における京都清水(きよみず)寺の勧進(かんじん)僧願阿(がんあ)による救済活動や,乱中の足軽(あしがる)の活動の様子など,興味深い記述に富んでいる。

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改訂新版 世界大百科事典 「碧山日録」の意味・わかりやすい解説

碧山日録 (へきざんにちろく)

室町時代の日記。5巻。筆者は東福寺内の霊隠軒主太極。1459-63年(長禄3-寛正4)と65年,68年(応仁2)の記事が伝存。応仁の乱前夜の幕府政治の乱れと,京都近郊の社会不安を活写する。ことに61年の寛正大飢饉で洛中餓死者8万人が出たことや,清水寺の勧進僧願阿の救済活動などを記録するほか,応仁の乱中の足軽の活躍や,山城木幡郷の郷民の動向等,下層民の記事が生彩に富む。《増補続史料大成所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「碧山日録」の意味・わかりやすい解説

碧山日録
へきざんにちろく

室町中期に出た東福寺派の禅僧雲泉太極(うんぜんたいきょく)(1421~?)の日記。5巻。1459~63年(長禄3~寛正4)までと、1465~68年(寛正6~応仁2)までとが伝存。その内容は、五山僧侶(そうりょ)の生活と当時の世相および文化、とくに京都における寛正(かんしょう)の飢饉(ききん)の惨状、応仁(おうにん)の乱とそれに伴う社会不安や足軽の活動などにわたり、応仁の乱の様相を知るうえの貴重な史料である。『改訂史籍集覧』所収。

芳賀幸四郎

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「碧山日録」の解説

碧山日録
へきざんにちろく

室町中期の禅僧太極(たいぎょく)の日記。名称は太極が京都東福寺霊隠軒内に設けた書斎「碧山佳処」にちなむ。伝存年次は1459~63年(長禄3~寛正4)・65年・68年(応仁2)。原本は伝わらないが,古写本は尊経閣文庫蔵。五山禅僧の生活と応仁の乱勃発前後の政治・社会情勢を伝えるほか,太極が読んだ書籍の抜粋絵画墨跡の鑑賞記事,自作の詩文など,学芸関係の記事にも富む。「増補続史料大成」所収。

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