絵姿女房(読み)エスガタニョウボウ

デジタル大辞泉の解説

えすがた‐にょうぼう〔ヱすがたニヨウバウ〕【絵姿女房】

昔話の一。百姓の美しい妻が、その絵姿を見た殿様に連れて行かれるが、機知を働かせて殿様と夫を入れかえる。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

絵姿女房 えすがたにょうぼう

昔話の主人公。
ある若者のうつくしい女房。若者がもっていたその絵姿が風にとばされて殿様の目にふれ,女房はめしあげられてしまう。若者は物売りとなり,女房をとりもどす。あるいは殿様からふきかけられた難題をとき,女房の差し出しをまぬかれる。幸福な結末をむかえる婚姻譚として,主に西日本につたえられている。

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デジタル大辞泉プラスの解説

絵姿女房

矢代静一による戯曲。1955年、第1回新劇戯曲賞(のちの岸田国士戯曲賞)の候補作品となる。

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世界大百科事典 第2版の解説

えすがたにょうぼう【絵姿女房】

婚姻をテーマとした昔話の一つ。美しい女房の姿を描いた絵が風に飛ばされて殿様の手に入る。殿様はその女を強奪しようとして失敗する。ヨーロッパでは“美しい女房ゆえにねたまれる男”の話として知られている。同工異曲の話は世界的に分布し,女房を奪われた男が物売に扮装して城に入り,殿様を城から追い出してしまう〈物売型〉と,女房の力で殿様からの難題を克服する〈難題型〉とに二分される。絵姿や,百姓が殿様と衣装の交換をするという趣向は日本的ではなく,外国の輸入だとする説があるが,そうとも言いきれない。

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大辞林 第三版の解説

えすがたにょうぼう【絵姿女房】

昔話の一。殿様が絵姿を見て連れ去った美しい女房を、夫が女房の機知により取り返すという話。夫が女房の知恵で殿様の難題を次々に解決する型の話もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

絵姿女房
えすがたにょうぼう

昔話。間接的に知った女に恋することを主題にした婚姻譚(たん)の一つ。竜宮からきた美しい女を妻にした男が、妻のそばを離れない。妻は自分の絵姿を描いて持たせ、仕事に行かせる。ある日、絵姿を風に飛ばされる。絵は殿様の城に落ちる。絵を見た殿様は、その女を妻にしたいと思い、家来に探させる。妻は別れるとき、夫に、物売りになって城に来いという。夫が城に物売りに行くと、それを聞いて、女が初めて笑う。喜んだ殿様は、物売りと衣服を取り替える。物売り姿の殿様は城から追い出され、夫は殿様になる。満野長者(まんのちょうじゃ)譚では、「炭焼き長者」と複合して後段をなし、その「絵姿女房」の部分は、古く、幸若舞(こうわかまい)の「烏帽子折(えぼしおり)」のなかにみえる。宗教芸人の由来譚になっている例もあり、芸人によって語り広められた時代もあったらしい。絵姿を飛ばす趣向は東アジアで発達しており、類話は、朝鮮、モンゴル、中国大陸の漢族、ミャオ族、パイ族、チベットにある。モンゴルの仏教説話集『シッディ・キュル』には、絵姿が髪の毛に変化しただけの話があり、この系統の類話はインドにも多い。全体の形式までは一致しないが、絵像などを見て恋する婚姻譚は、グリム兄弟の昔話集の「忠義なヨハネス」など、ヨーロッパにも多数分布している。[小島瓔

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