絵鞆半島(読み)えともはんとう

日本歴史地名大系 「絵鞆半島」の解説

絵鞆半島
えともはんとう

内浦湾北東岸の湾口に西方向へ「く」の字に曲がり突き出した半島。室蘭港を抱き、室蘭半島ともいう。かつては島であったが、完新世の四、五〇〇〇年前に砂洲でつながれ陸繋島となった。半島基部の砂洲以外は、西部測量そくりよう(一九九・六三メートル)を最高点に全体として丘陵状を呈し、第三紀中新世の火山砕屑岩や玄武岩質安山岩からなる。半島の先端に半島名の由来にもなった絵鞆岬がある(→絵鞆岬近世にはヱトモ場所が置かれた。半島と湾の地形は近世の伊能小図、「蝦夷日誌」(一編)中の「エトモの澗の図」に描かれる。開拓使による室蘭築港のためアメリカ人技師のM・S・デーが明治七年(一八七四)に本格測量したNEW MORORAN HARBOUR(新室蘭港図)が、同一〇年一二月付の開拓使地理課による凡例とともに「北海道三角測量報文」に付図として収録されており、同図にも絵鞆半島が描かれている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「絵鞆半島」の意味・わかりやすい解説

絵鞆半島
えともはんとう

北海道南西端,室蘭港を囲む半島。北側は室蘭市の主要市街地となっている。絵鞆はアイヌ語のエトク(突出部の意),またはエンルム(岬の意)に由来。更新世の頃は島であったが,その後砂州でつながり,陸繋島となったもの。測量山,母恋富士,三角山をはじめ 100mほどの丘陵が続く。おもな地層新第三紀凝灰岩集塊岩。半島南端の絵鞆チャシ(砦)はアイヌ砦の最も大規模なものであった。最南端のチキウ岬の高さ約 15mの絶壁上に光達距離約 46.3kmの 1等灯台がある。

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