日本大百科全書(ニッポニカ) 「綿圃要務」の意味・わかりやすい解説
綿圃要務
めんぽようむ
綿作研究書。著者は大蔵永常(おおくらながつね)。1833年(天保4)刊行。彼の18番目の著作。乾(けん)・坤(こん)二巻よりなり、表紙に「諸国綿のつくりかたを委(くわ)しく記したる書也(なり)」と書かれている。乾の巻には、ワタの解剖、分類、簡単な加工、販売、風土、気候、品種、採種、地拵(じごしら)え、種処理、肥料について述べ、坤之巻では、綿作心得、綿摘みと乾燥などに触れ、続いて、姫路、玉嶋、早嶋辺、福山辺、大坂(大鳥郡)、奈良五條(ごじょう)付近、大坂東部などの実態を細かく記載している。また「大坂の綿問屋で綿品質の善悪を論ずる」項があり、各地の綿の品質、その輸送などについて述べている。内容は具体的、実際的である。
[福島要一]
『山田龍雄他編『日本農書全集15 除蝗録・農具便利論・他』(1977・農山漁村文化協会)』