緊急消防援助隊(読み)きんきゅうしょうぼうえんじょたい

共同通信ニュース用語解説 「緊急消防援助隊」の解説

緊急消防援助隊

阪神大震災救助が遅れた教訓から、1995年に消防の広域応援部隊として発足した。普段は地元の消防で活動し、大規模地震や水害時に駆け付ける。能登半島地震を含め東日本大震災や西日本豪雨など計44回出動した。消防組織法に基づき、隊の規模や編成車両整備について定めた計画を約5年ごとに改定してきた。総務省消防庁は、南海トラフ巨大地震などに備え、隊の増強や車両整備の拡充を掲げる。登録数は2023年4月1日現在で47都道府県の6629隊。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「緊急消防援助隊」の意味・わかりやすい解説

緊急消防援助隊
きんきゅうしょうぼうえんじょたい

大規模な災害や事故が起きた際、全国の消防機関から集結して消防・救助・救急活動にあたる専門部隊。英語の名称はemergency fire response teams。消防組織法では、消防機関は原則、市町村単位で運営すると定めていたが、被災地の消防機関だけでは対処できなかった1995年(平成7)の阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、同年6月に都道府県の枠組みを越えて創設された。2004年(平成16)には改正消防組織法で法的に位置づけられた。消防庁長官の要請や指示に基づき、災害・事故現場へ派遣される。人命救助の専門部隊である東京消防庁の消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)など全国の消防署員で組織され、都道府県ごとに部隊を編成して活動する。国が所有するヘリコプター、放水塔車、除染システム車などの特殊車両、ウォーターカッター、可搬型衛星地球局などの特殊資・機材が必要に応じて無償貸与される。創設以来、有珠(うす)山噴火災害(2000)、福井豪雨(2004)、新潟県中越地震(2004)、JR西日本福知山(ふくちやま)線列車事故(2005)、岩手・宮城内陸地震(2008)などの災害・事故現場に派遣され、2011年の東日本大震災では延べ約10万人が被災地で活動した。2014年4月時点で、全国に約4694(うち消火小隊1649)の登録部隊がある。

 政府は首都直下地震や南海トラフ巨大地震に備え、2018年度末までに全国の登録部隊を6000(うち消火小隊2500)に増強する計画である。さらに、石油コンビナートなどのエネルギー・産業基盤の被災に備え、特殊災害への対応に特化した「エネルギー・産業基盤災害即応部隊(ドラゴンハイパー・コマンドユニット)」のほか、被災地に先導出動して初動対応を行う「統合機動部隊」、緊急消防援助隊の通信を確保する「通信支援隊」を新設し、機動力や後方支援体制の強化を図る。

[編集部]

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