拍板(びんざさら)とも。体鳴楽器。もと田楽踊の楽器。奈良時代に中国から伝来し,平安末期に各地で流行。奈良の春日大社の御祭,歌舞伎音楽,民俗芸能などで使われる。数十枚以上の木板を紐で横につなぎ,両端の取手をもち上に突きあげて音をだすので「ささらを突く」と表現される。歌舞伎の編木はカシ製で40枚。富山県の「こきりこ節」に使われる編木は108枚。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…また古くはささらをすりながら説経を語る簓説経があり,能の《自然居士(じねんこじ)》にもこの楽器が採り入れられている。(2)〈びんざさら〉ともいい,〈編木〉〈拍板〉の字を当てる。数十枚,ときには100枚を超える小木片をそろえて,一端をひもでつなぎ合わせて重ね並べ,その両端に取っ手をつけて,両手で操作して音を出すもの(イラスト)。…
…
[田楽法師による芸能]
社寺の祭礼などに,田楽躍を中心に奉納芸能を演じた芸能者集団は,法師形をしていたことから,田楽法師の名で呼ばれた。びんざさら(編木)・腰太鼓を打ちつつ躍る者各4,5人を中心に,花笠で飾った笛役,鼓,銅鈸子(どびようし)などの奏者を加えた十数名が一座を成す。ささら,太鼓,鼓,笛などの構成楽器が田植を囃す楽と一見同じに見えるところから,(2)を(1)の芸能化したものという見解がなされたが,実態は別種の芸能で,びんざさらが数十枚の木片を並べて上部をひもで固定し,両手で打ち合わせて独自の音を出すのに対し,ささらは鋸歯状の刻み目を入れた棒(ささらこ)を,竹の先をはけ状に割ったささら竹でこすって音を出す。…
…現在も文廟祭享楽や大編の管絃合奏に用いる。 日本でも古くは拍板が用いられ,拍子,百子といったが,のちには簓(ささら)の類の編木(びんざさら)のみが発達した。沖縄の三板(さんばん∥さんば)は中国系と考えられ,日本の四つ竹(よつだけ)も竹製の拍板とみなされる。…
※「編木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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