美波(読み)みなみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「美波」の意味・わかりやすい解説

美波(町)
みなみ

徳島県の南部海部(かいふ)郡の北東部を占める町。2006年(平成18)に海部郡由岐(ゆき)町と日和佐(ひわさ)町が合併して成立。北の阿南(あなん)市との境に高山はなく、北西の那賀(なか)郡那賀町との境には後世(ごせ)山(御世山、538メートル)、鉢ノ山(621メートル)、八郎山(918メートル)、南西の海部郡牟岐(むぎ)町との境には胴切(どうぎり)山(883メートル)、五剣(ごけん)山(638メートル)などがある。赤松川、北河内谷(きたがわうちだに)川、日和佐川などがつくる平野は狭少で、山地が海岸まで迫る。南は太平洋に臨み、沈降性海岸は岬、入り江、大浜海岸、千羽(せんば)海崖、また多くの島々など変化に富む景観を見せる。JR牟岐線、国道55号(土佐街道)が通り、南阿波サンライン(県道日和佐牟岐線)が海岸近くを走る。伊座利(いざり)、阿部(あぶ)、由岐、木岐(きき)、日和佐川河口の日和佐など良港が多く、東由岐の大池(おおいけ)では宋銭などが発見され、大池南方の由宇(ゆう)には中世の九州型板碑がある。江戸時代には浜方で加子(かこ)役を務める者も多く、また土佐街道筋の西由岐、木岐、恵比須、日和佐には徳島藩の川口役所が置かれた。日和佐は漁業とともに廻船業も盛んであった。江戸後期には郡代官所が移り、幕末には郡行政の中心地となっていく。明治以降も漁業は盛んで阿部の潜水漁は世界に知られた。日和佐に県立水産試験場(現、県立農林水産総合技術支援センター水産研究課美波庁舎)が開設され、大正期には遠洋漁業の基地ともなった。現在の産業は水産業や米作が中心であるが、室戸阿南海岸国定公園に含まれる海岸部を中心に観光開発が展開されている。奥河内の薬王寺は四国霊場八十八か所の第23番札所。大浜海岸のウミガメおよびその産卵地は国の天然記念物に指定されており、うみがめ博物館「カレッタ」がある。面積140.74平方キロメートル、人口6222(2020)。

[編集部]


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改訂新版 世界大百科事典 「美波」の意味・わかりやすい解説

美波[町] (みなみ)

徳島県南東部,海部(かいふ)郡の町。2006年3月日和佐(ひわさ)町と由岐(ゆき)町が合体して成立した。人口7765(2010)。

美波町中西部の旧町。海部郡所属。人口5792(2000)。太平洋に面し,JR牟岐(むぎ)線が通じる。《和名抄》に和射(わさ)郷とある。日和佐川河口右岸の城山に16世紀に日和佐山城が築かれ,河口には滝が,右岸には四国八十八ヵ所23番札所の薬王寺があって,現在の市街地が形成されていった。港は江戸時代から県南有数の漁港として知られ,明治中期からは北九州や東シナ海水域への出漁が盛んになり,博多港周辺にはこの町と関係の深い人が多い。現在は県立水産高校もあり,大敷網によるブリ漁,カツオの一本釣りが行われている。薬王寺厄よけ祈願で知られる。また天然記念物に指定されたウミガメ産卵地の大浜海岸,北河内(きたがわち)のタチバナ自生地,明丸のオガタマノキ自生地,千羽(せんば)海崖に臨む南阿波サンライン(ドライブウェー)などの観光資源にめぐまれる。オーストラリア北東部のウミガメ産卵地ケアンズ市と姉妹都市盟約を結んでいる(現在は美波町が継承)。
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美波町東部の旧町。海部郡所属。人口3515(2000)。1955年三岐田(みきた)町が阿部(あぶ)村を編入した際,由岐町に改めた。北は阿南市に接し,南は太平洋に臨む漁業と観光の町である。JR牟岐(むぎ)線が通る。山地が多いため農業は振るわないが,米作,ミカンなどの栽培が行われ,養豚,養鶏も行われる。基幹産業は漁業で,アワビ,サザエ,ハマチ,カツオなどの漁獲が多い。海岸はリアス海岸で小湾入に富み,室戸阿南海岸国定公園に含まれ,伊座利地区には青少年旅行村やキャンプ場がある。田井ノ浜はオオウミガメの産卵地で,夏季は海水浴客でにぎわう。
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百科事典マイペディア 「美波」の意味・わかりやすい解説

美波[町]【みなみ】

徳島県南東部に位置する海部郡の町。南部を太平洋に面する。2006年3月,海部郡由岐町,日和佐町が合併し町制。JR牟岐線,国道55号線が通じる。140.80km2。7765人(2010)。

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