仲間や健康づくり、地域社会への貢献を目的とした自主的な組織。原則として60歳以上が対象で、一般に歩いて集まれる範囲に住む30~100人程度でつくる。レクリエーションや介護予防のイベント企画、ボランティアなど活動は多彩。老人福祉法は、自治体から老人クラブへの助成を規定している。
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原則として60歳以上の老人が,自主的に参加・運営を行う活動組織で,一定の条件を満たしていれば,国の在宅老人福祉対策事業の一つである生きがい対策としての老人クラブ助成事業から助成金が支給される。1995年3月末現在の老人クラブ数は約13万3900,会員数は約880万人で,60歳以上人口に占める会員の割合は約35%である。各地域の老人クラブが集まって市町村老人クラブ連合会を形成し,それらが結集して都道府県老人クラブ連合会となり,さらに全国老人クラブ連合会となる。会員数からみると全国老人クラブ連合会は,この種のものとしては他に類をみない大規模な団体といえる。老人クラブの発生についての明確な資料はないといわれているが,1950年ころから老人の憩の場として各地で組織されはじめたという説が一般的である。今日みられるように老人クラブが増加した最大の要因は,63年に制定・施行された老人福祉法にもとづき,老人クラブに対する国の助成が始められたことによる。また老人クラブの活動拠点となっている老人福祉センターの増設(1994年現在,約2200)も影響している。老人クラブの活動は,自主的・民主主義的運営を前提としており,政治的,宗教的に偏った活動は禁止されている。老人クラブは一般に,老人の娯楽・レクリエーション集団としてとらえられがちである。確かに多くの老人クラブでは娯楽,レクリエーションを中心とした活動が行われているが,これらは老人クラブ活動の一つでしかなく,みずからの教養や健康を高めるための活動,地域社会の他の組織と共同で行う社会活動や老人福祉を推進するための活動なども老人クラブの活動として考えられており,それらの活動も徐々にではあるが広がってきている。
老人クラブがかかえている問題としては,60歳代前半の若い老人層の参加が少ないために,高齢の会員が中心となることにより,活発な活動を行うことが困難になる傾向がみられること,女性会員が多く男性の加入が少ないこと,活動のリーダーシップをとる適当な指導者が少ないこと,各会員の要求を満たす活動を開拓しにくいために,会員の属性に偏りがみられること,などがある。これらの問題はいずれも,各老人クラブが日常の活動のなかで解決していかなければならないことがらであるといえる。
執筆者:岡本 多喜子
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