耐熱ガラス(読み)タイネツガラス(その他表記)heat resisting glass

デジタル大辞泉 「耐熱ガラス」の意味・読み・例文・類語

たいねつ‐ガラス【耐熱ガラス】

急熱・急冷に耐えるガラス。広くは軟化点の高いものをいう。石英ガラス・高珪酸けいさんガラスなど。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「耐熱ガラス」の意味・わかりやすい解説

耐熱ガラス
たいねつがらす
heat resisting glass

高温まで使用でき熱衝撃に強いガラスの総称。理化学用、調理用、照明用、魔法瓶など、加熱され、温度急変のある用途に適している。シリカガラス(石英ガラス)、バイコールガラス(96%シリカガラス、アメリカのコーニング社の商品名)、高アルミナ質ガラス、ホウケイ酸ガラス硬質ガラス)などがある。これらのなかでシリカガラスは1100℃の高温に耐え、また熱膨張係数も1℃当り1000万分の5~6と最低であるため急熱・急冷にもっとも強いが、高価であるため、一般商品として使われることは少ない。したがって、高温ではバイコールガラス、高アルミナ質ガラス、ホウケイ酸ガラスの順で、また熱衝撃に耐えるものとしてはバイコールガラス、ホウケイ酸ガラスの順で使われている。パイレックス級ホウケイ酸ガラスは熱膨張係数が1000万分の32と比較的小さいので熱衝撃に強く、科学実験用、調理用、あるいは防火ガラスなどとして使われている。しかし、強い火炎は避けたほうがよく、それには、ユークリプタイトeucryptiteやスポジュウメンspodumeneの結晶(リチウムアルミノシリケート結晶)を析出したLi2O-Al2O3-SiO2系零膨張ガラスセラミックス製品が適している。

[境野照雄・伊藤節郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「耐熱ガラス」の意味・わかりやすい解説

耐熱ガラス (たいねつガラス)
heat resisting glass

軟化点がだいたい800℃以上で,かつ膨張率が小さく,耐熱衝撃性を有するガラスをいう。軟化点および膨張率は組成と密接な関係がある。SiO2成分のみからなる石英ガラス耐熱性の面からは最良であるが,製造コストが高いため種々の耐熱ガラスが作られている。すなわち,石英ガラスにできるだけ近い組成のガラスを容易に製造することを目的として開発されたバイコールVycor(アメリカのコーニング社の登録商標),耐熱性低下の原因となるアルカリ,およびアルカリ土類元素の量を減少させ,溶融が困難になる点をB2O3成分を添加することによって改良したホウケイ酸系ガラス,またアルカリ土類元素を導入しつつも,ガラス構造を石英ガラスに近づけるためにAl2O3を添加したアルミノケイ酸ガラスなどが代表的なものである。表にその代表的組成を挙げる。パイレックスPyrex(コーニング社の登録商標)は,ホウケイ酸ガラスの代表例であり,ビーカーフラスコなどの理化学用や,コーヒーメーカー用ジャグ,調理用なべなどに使われている。バイコールは,ホウケイ酸系ガラスの分相現象(熱処理により組成の異なる2種類のガラス相に分離する現象)を応用し複雑な工程で製造される。アルミノケイ酸ガラスは,高温用温度計,燃焼管などに利用される。デビトロセラミックスにも耐熱性を目的として作られるものがある。
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百科事典マイペディア 「耐熱ガラス」の意味・わかりやすい解説

耐熱ガラス【たいねつガラス】

熱膨張率が小さく急熱急冷に耐え,軟化点の高いガラス。耐熱性では石英ガラスが最良。このほか,石英ガラスの組成に近づけたバイコール(米国コーニング社の商品名),ホウケイ酸ガラス,アルミノケイ酸ガラスなどがある。パイレックス,テレックスも商品名。理化学用,特殊電子管用などのほか,耐熱ガラスなべなどにも利用される。→ガラス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「耐熱ガラス」の意味・わかりやすい解説

耐熱ガラス
たいねつガラス
heat-resisting glass

急熱,急冷に耐えるガラス。軟化点の高いガラスを含めることもある。熱膨張係数の小さいことが特徴で,通常のガラスの膨張係数が 90× 10 -7 であるのに対し,耐熱ガラスの膨張係数は,石英ガラスで4× 10 -7 ~5× 10 -7 ,ホウケイ酸ガラスで 30× 10 -7 程度と小さい。パイレックスガラス,テレックスガラスなどの商品がある。

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