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耳小骨 じしょうこつauditory ossicles

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

耳小骨
じしょうこつ
auditory ossicles

鼓室腔にあって,鼓膜につくツチ骨内耳前庭窓につくアブミ骨,その間にあるキヌタ骨の3骨より成る。それらは互いに関節でつながり,小靭帯で中耳腔内に支持され,薄い粘膜で包まれている。外耳から入った音は鼓膜を振動させ,耳小骨連鎖を介して内耳に伝達される。このとき耳小骨連鎖のてこ作用によって,音圧が 2.5dB増強される。

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百科事典マイペディアの解説

耳小骨【じしょうこつ】

鼓室小骨,聴小骨とも。両生類以上の脊椎動物にある小型の骨。外耳からの振動を内耳に伝える。両生類・爬虫(はちゅう)類・鳥類では1つの骨だが,哺乳(ほにゅう)類では3つの骨からなる。
→関連項目鐙骨中耳

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世界大百科事典 第2版の解説

じしょうこつ【耳小骨 ear ossicle】

鼓室小骨または聴小骨ともいう。魚類以外の脊椎動物の中耳の鼓室にあって,音の振動を鼓膜から内耳へ伝達する小さい骨。両生類,爬虫類,鳥類には1個,哺乳類には3個ある。軟骨魚類など原型的な脊椎動物では,上下のあご骨格であるいわゆる顎弓の後に,舌弓とよばれるえらの骨格があり,これはさらにその後方に並ぶ数対のえらの骨格,つまり鰓弓(さいきゆう)と一連の構造になっている。顎弓,舌弓,鰓弓は一括して内臓弓とよばれ,あごが現れる前の原始的魚類(無顎類)ではこれらは等しくえらの骨格であったと考えられている。

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大辞林 第三版の解説

じしょうこつ【耳小骨】

中耳腔にある小形の骨。哺乳類では三骨から成り、その形態から槌つち骨・砧きぬた骨・鐙あぶみ骨と呼ばれる。関節により連結。鼓膜の振動を内耳に伝え、また鼓膜の緊張や耳内圧を調節する。鼓室小骨。聴小骨。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

耳小骨
じしょうこつ

音を内耳に伝える小形の骨で、聴小骨または鼓室小骨ともいう。両生類以上の脊椎(せきつい)動物の中耳にあり、鼓膜と内耳を結ぶ。魚類ではあごを支える骨の一部である舌顎(ぜつがく)軟骨が、両生類、爬虫(はちゅう)類、鳥類では変化して棒状になった一小骨で、耳小柱という。哺乳(ほにゅう)類では他の3綱と異なり、耳小骨は3個の骨からなっている。すなわち、鼓膜に付着する槌骨(つちこつ)、ついで砧骨(きぬたこつ)、最後に内耳の前庭窓につく鐙骨(あぶみこつ)である。これらのうち鐙骨は耳小柱と相同で、長さが短くなったものである。他の二つは、下等脊椎動物のあごを支える関節骨と方形骨から変じたものと考えられている。魚類でも内耳に音を伝える小骨をもっているものがあり(たとえばコイ、ウナギ、ナマズ)、その骨をウェーバー小骨という。ウェーバー小骨は前端3個の椎骨(ついこつ)の突起が変化したもので、ウェーバー器官をつくる。[川島誠一郎]

ヒトの耳小骨

中耳の内部にある3個の連鎖した小骨で、鼓膜と前庭窓との間にわたっている。鼓膜側からツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨(人体解剖学では片仮名表記)の順に配列し、互いに関節をつくってつながっている。鼓膜が受けた音波は耳小骨を介して内耳に伝えられる。ツチ骨は耳小骨のなかでは最大で、ハンマー状をしている。すなわち、球形のツチ骨頭とそれに続く細いツチ骨頸(けい)があり、ツチ骨頸から細長いツチ骨柄(へい)が伸びている。ツチ骨柄はその全長にわたって鼓膜に固着しており、骨柄の下端の鈍円な部分が鼓膜臍(さい)についている。骨柄の基部あたりでツチ骨頸から2本の突起が出ていて、そのうち太くて短い外側突起が鼓膜のほうに向いていてツチ骨隆起を形成している。ツチ骨頭の後面には鞍(くら)状の関節面があり、キヌタ骨体と関節をつくっている。キヌタ骨は臼歯(きゅうし)状をしており、キヌタ骨体と下方に突出する2本の脚からなっている。キヌタ骨体にはツチ骨頭を入れる鞍状の凹(くぼ)みがある。2本の脚は長脚と短脚で、長脚はツチ骨柄と平行方向に伸びて、その先端が球状に膨らみ(豆状突起)、アブミ骨頭と関節をつくっている。短脚は太くて短く、ほとんど水平に乳突洞方向に向いている。アブミ骨は耳小骨では最小で、全体として乗馬に使う鐙の形をしている。鐙の足板に相当するアブミ骨底は楕円(だえん)形で、前庭窓の形に適応して前庭窓をふさいでいる。足板の両端から出た前脚と後脚はアブミ骨頭で結合する。ツチ骨、アブミ骨はそれぞれ靭帯(じんたい)によって周囲の骨壁に固定されている。[嶋井和世]

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世界大百科事典内の耳小骨の言及

【あご(顎)】より

…また,もと上顎の骨格だった方形骨が中耳に転位してきぬた骨になり,もと下顎の後端にあった関節骨も中耳に入ってつち骨になる。ここに哺乳類の特徴である3個の耳小骨が完成する。さらに下顎の角骨は頭蓋底に移って中耳を覆う鼓骨になる。…

【中耳】より

…これは,顎骨をまだもっていなかった軟骨魚類の祖先において多数の対をなして並んでいた内臓弓(えらの骨格)のうち,最前方のもの(顎弓)がやがて顎骨に,第2のもの(舌弓)が舌骨に変化したとき,それらに挟まれた鰓孔が退化縮小して残存したものと考えられる。舌弓の要素であった舌顎骨は変形し,空気呼吸をする両生類に進化するとともに,それは鼓膜と内耳をつなぐ最初の耳小骨になり,外気の振動を内耳へ伝える聴音装置となった。そして,もとの鰓孔の深部は耳管(エウスタキオ管,欧氏管)として存続している。…

【聴覚】より

…蝸牛は内耳の一部をなすが,そのほかに聴覚に関係するのは,動物が水中から陸上に上がった際に獲得した中耳と,集音のための外耳である。空気中を伝わってきた音波は,外耳で集められ,中耳の鼓膜とこれに続く耳小骨連鎖(哺乳類では,つち骨,きぬた骨,あぶみ骨という3個の耳小骨が関節をつくり,音波の伝播(でんぱ)の能率を高めている)により液体(外リンパ)で満たされた蝸牛へ送り込まれるのである。この機構はH.L.F.vonヘルムホルツにより1863年に明らかにされた。…

【頭骨】より

…またこれらの動物では,口蓋方形軟骨の前部は退化消失,後部は骨化して方形骨という上あごの要素になり,それと関節骨とが顎関節を構成する。さらに両生類以上の動物では,舌顎軟骨も変形,骨化し,耳小骨のあぶみ骨(耳小柱)となる。円口類と軟骨魚類以外の動物では,胚期の軟骨性骨格がこのように骨化し,いわゆる軟骨性骨(一次骨)になるほか,軟骨段階を経ずに新たに直接形成される硬骨,すなわち皮骨(二次骨)の要素が多数発生して頭骨の大きな部分を占め,それらが可動または不動性の関節でつながり合って骨性頭蓋を形成することになる。…

【耳】より

…内耳ということばは,周囲の骨質なども含めたこれらの諸構造の全体を指すもので,魚類の耳はこれだけでできている。次に,内耳の外側に隣接した,空気の入っている中空の区域が中耳で,外壁をなす〈鼓膜〉,〈耳小骨(鼓室小骨)〉,耳小骨を収める空間である〈鼓室〉,鼓室腔を咽頭につなぐ〈耳管〉および周囲の諸組織から成っている。中耳は音の伝達に関与する部分であり,原則として四足動物の共有する特徴である。…

※「耳小骨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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