出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
中国、南朝宋(そう)の詩人。字(あざな)は延年。本籍は臨沂(りんぎ)(山東省)で、曽祖父(そうそふ)の代に南へ移った。貧窮から身をおこし、晋(しん)・宋の交代期に遭遇して、孝武帝のとき金紫光禄大夫(きんしこうろくたいふ)に至った。酒を好み、傍若無人の性質であったので左遷されたりもした。若いころ陶淵明(とうえんめい)と交わり、その死を悼んで『陶徴士誄(るい)』を書いたことは有名(『文選(もんぜん)』に収められる)。詩風は彫琢(ちょうたく)を凝らした美しさで、謝霊運(しゃれいうん)と並べて「顔謝」の称があり、鮑照(ほうしょう)が2人を評し、「謝の詩は自然で愛すべきだが、君の詩は雕絵満眼(ちょうかいまんがん)だ」といった。長寿を保ち文壇の領袖(りょうしゅう)として重きをなすに至る。霊運、鮑照とともに「元嘉(げんか)三大詩人」とよばれる。
[石川忠久]
中国,南朝宋の代表的詩人。謝霊運とともに〈顔謝〉とならび称された。字は延年。典故の使用が目だち,その影響をうけた詩は書物の抜書きのようになったと鍾嶸(しようこう)の《詩品》は批判する。詩作品のほか,何承天の《達性論》に反論した《釈達性論》には儒教と仏教の思想の調和がみとめられ,また《庭誥(ていこう)》は興味ぶかい家訓の一つ。顔光禄と呼ばれるのは,宋の孝武帝の金紫光禄大夫となったからである。
執筆者:吉川 忠夫
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