肉鰭類(読み)にくきるい

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肉鰭類
にくきるい
[学]Sarcopterygii

脊索(せきさく)動物門Chordata、硬骨魚綱Osteichthyes、肉鰭亜綱(肉鰭綱とする研究者もいる)に属する魚類の総称であるが、四足動物も含ませることがある。この場合、魚類ではシーラカンス類と肺魚類が入るが、四足動物の両生類、爬虫(はちゅう)類、鳥類および哺乳(ほにゅう)類も該当する。肉鰭類に含まれる魚類はこれ以外の魚類よりも四足動物にいっそう近縁であり、なかでも肺魚類はもっとも近い。肉鰭類に共有する特徴は歯にエナメル質を含んでいることであるが、この説に異議を唱える研究者もいる。
 肉鰭類は胸びれと腹びれは葉状の原鰭であり、陸上動物と同じような肺を備え、気道は食道の下側に開き、頬(ほお)に膜骨をもつなどで特徴づけられる。化石種のシーラカンス類と肺魚類はよく似た特徴を備えていたが、現生種ではかなりの形態的な相違点もある。現存するシーラカンスと肺魚はそれぞれ別の目(もく)に入れられている。
 現生のシーラカンス類の特徴は次のとおりである。尾びれが3葉からなる両尾型。コズミン鱗(りん)(主として化石種にみられ、表面からエナメル層、コズミン層および板骨(ばんこつ)層の3層からなる鱗(うろこ)。コスミン鱗ともいう)が薄くなり、円鱗状。頭蓋骨(とうがいこつ)は前後に二分され、可動的に関節する。脊椎(せきつい)骨に椎体が発達しない。脊索は円筒状で太い。鰾(ひょう)(うきぶくろ)に脂質がつまっている。腸に螺旋(らせん)弁と直腸腺(せん)がある。卵胎生である。南アフリカ、モザンビーク、コモロ諸島周辺、インドネシアのスラウェシ島周辺の海域に限られて生息する。
 現生の肺魚類の特徴は次のとおりである。体が細長い。鱗は円鱗状。対鰭は葉状または鞭(むち)状。尾びれは両尾型。鰾は肺として機能し、気道は消化管の腹面に開く。腸に螺旋弁がある。心臓には心室と心房を分ける隔壁がある。脊椎骨には椎体が発達しない。脊索はくびれないで、円筒状である。オーストラリアのクイーンズランド州の淡水域に1種、南米のブラジルとパラグアイの淡水域に1種、そしてアフリカの淡水域に4種の現生種がいる。[尼岡邦夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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