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胃カメラ いカメラgastrocamera

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

胃カメラ
いカメラ
gastrocamera

胃の内部を撮る医療用カメラ。 1950年に日本で考案され,完成された。細い管を内に入れて先端のカメラで自動的にカラー写真を撮ることができる。胃癌の早期発見に重要な役割を果したが,最近はグラスファイバを束ねた屈曲自在なファイバスコープの普及によって,カメラを直接胃の中まで挿入する胃カメラはほとんど用いられなくなった。

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デジタル大辞泉の解説

い‐カメラ〔ヰ‐〕【胃カメラ】

胃の内壁を撮影するための医療器具。管の先に小型カメラを組み込んだもので、口から胃の中に入れ、外から操作する。昭和25年(1950)日本で発明。現在ではファイバースコープが用いられる。ガストロカメラ

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百科事典マイペディアの解説

胃カメラ【いカメラ】

ガストロカメラgastrocameraとも。細いチューブの先に小型カメラをつけて胃内に入れ,体外から操作して胃粘膜像を直接撮影するもの。日本の研究者によって開発された胃疾患診断の強力な検査法。
→関連項目内視鏡的治療

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世界大百科事典 第2版の解説

いカメラ【胃カメラ gastrocamera】

ガストロカメラともいう。胃癌,胃潰瘍胃ポリープなどの胃内病変の診断に際して用いられる医療機器で,胃内腔に挿入し,体外から遠隔操作フィルムを巻き上げ,カメラのアングルを操作して撮影する。1950年に日本で発明され,それまで自覚症状がなく発見が手おくれのために根治手術が不可能の場合が多かった胃癌の早期発見に威力を発揮し,急速に普及した。胃カメラの連結部直径は7.5mmと細く,集団検診にも用いられる。

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大辞林 第三版の解説

いカメラ【胃カメラ】

柔軟な管の先端に極小カメラをつけたもの。胃の中に入れて他端から操作し、内壁を撮影する。日本で発明。早期胃癌の発見に威力を発揮。 → ファイバースコープ
「上部消化管内視鏡」の俗称。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

胃カメラ
いかめら
gastrocamera

胃の内部を撮影するためのカメラで、日本で開発され「ガストロカメラ」の商品名で知られる。これによって胃の内視鏡検査が急速に普及したことと、その親しみやすい名称のために、上部消化管(食道・胃・十二指腸球部)の内視鏡検査が胃カメラ検査と通称される。今日では先端に小型撮像素子(CCD)を組み込んだ電子スコープが使用される。電子スコープでは、モニター画面を通して被検者も自身の体内を見ることができる。[多賀須幸男]

沿革

胃内に小型カメラを挿入して撮影しようという試みはすでに1898年に行われており、1930年にはドイツでガストロフォトールGastrophotorの名で商品化までされたが、実際の使用には役だたなかった。1950年(昭和25)に東京大学医学部附属病院分院外科の宇治達郎(たつお)(1919―1980)が、オリンパス光学工業(現、オリンパス)の技術者2人すなわち杉浦睦男(むつお)(1918―1986)と深海正治(ふかみまさはる)(1920― )の協力を得て胃内撮影装置を完成、発表した。この装置では、幅6ミリメートル・長さ30センチメートルのフィルム上に約25こまの写真を撮影できた。以後、東京大学医学部の内科および外科を中心にして、その改良とそれを利用した診断法の確立への努力が続けられ、1960年ごろから日本全国に普及した。[多賀須幸男]

構造と機能

胃カメラは長さ約80センチメートルの柔軟な管の先端に、焦点距離3.6ミリメートル、F17程度の固定焦点レンズをもった小型カメラを取り付けたものである。カメラの方向は手元で操作でき、胃を膨らませるための送気管が設けられている。シャッターはなく、先端の電球のフラッシュにより、幅4~5ミリメートルのカラーフィルムに、5×6ミリメートルまたは4×6ミリメートルの写真が21~40こま撮影できる。直接胃の内部を見ることはできないので、腹壁を通して見えるフラッシュを参考に位置を推定して撮影した。その後、ファイバースコープが発明され、その先端に胃カメラを組み込んだ器械(GTF)ができ、胃内を観察して撮影することが可能となった。[多賀須幸男]

現状

胃鏡では検査している医師が、暗い視野のなかの所見をやっとスケッチできた程度であったが、胃カメラでは胃内部の鮮明なカラー写真が容易に撮影できた。そのために胃内のようすを多人数で客観的に検討できることになって、胃の内視鏡診断は急速に進み、胃癌(いがん)の早期診断に大いに貢献した。1961年に日本消化器内視鏡学会が制定した早期胃癌の分類は、世界中で採用されている。また従来の胃鏡検査に比較すると安価で技術の習得も容易であったので、多くの医師が使用することができた。1959年に創設された胃カメラ研究会は1961年に日本内視鏡学会へと発展し、1973年に日本消化器内視鏡学会に名称変更された。2008年(平成20)の時点で約3万1000名の会員を擁している。また胃カメラ開発によって培われた技術が向上し、日本製の内視鏡は世界中で広く使われている。
 上部消化管の内視鏡検査(いわゆる胃カメラ検査)は、朝食をとらない状態で、のどを麻酔したのち、太さは6~10ミリメートルの内視鏡を口から挿入し、食道から十二指腸球部までを数分から10分程度で検査できる。観察、撮影のほかに、色素液を散布して病巣を明らかにしたり、粘膜の小片をつまみ取って顕微鏡で検査すること(生検)が必要に応じて行われる。危険はまったくない。
 X線被曝(ひばく)がなく、診断の精度が非常に高いので、内視鏡検査が胃透視にとってかわった。これにより食道、十二指腸の早期癌の診断も可能になった。集団検診にも用いられる。[多賀須幸男]
 さらに近年では、鼻から挿入する経鼻内視鏡、バッテリーを内蔵した小型カプセル型の内視鏡が開発され、その有用性が確認されている。[編集部]
『深海正治監修・胃カメラ歴史研究会編著『胃カメラの技術物語』(1999・めいけい出版) ▽吉村昭著『光る壁画』(新潮文庫)』

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世界大百科事典内の胃カメラの言及

【内視鏡】より

…しかし,この程度の曲りでは盲点も多く,使用には高度の技術を必要とした。そこで東京大学の宇治達郎(1919‐80)はオリンパス光学工業の杉浦睦夫,深海正治らの協力を得て,50年に胃のなかに挿入して撮影できる小さい写真機を発明して胃カメラgastrocameraと名づけた。胃カメラでは胃の内部を直接に見ることはできなかったが,約30枚のカラー写真におさめることができた。…

【内視鏡】より

…しかし,この程度の曲りでは盲点も多く,使用には高度の技術を必要とした。そこで東京大学の宇治達郎(1919‐80)はオリンパス光学工業の杉浦睦夫,深海正治らの協力を得て,50年に胃のなかに挿入して撮影できる小さい写真機を発明して胃カメラgastrocameraと名づけた。胃カメラでは胃の内部を直接に見ることはできなかったが,約30枚のカラー写真におさめることができた。…

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