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胞状奇胎 ほうじょうきたい

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妊娠・子育て用語辞典の解説

ほうじょうきたい【胞状奇胎】

子宮内の組織が嚢胞というぶどう粒状態になって増殖していくトラブル。主に受精卵の異常で起こり、胎児が吸収されてしまう場合、または最初から胎児がいない場合があります。超音波検査ですぐ診断がつくようになりました。

出典|母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(愛育病院院長)、子育て編:多田裕(東邦大学医学部名誉教授)
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デジタル大辞泉の解説

ほうじょう‐きたい〔ハウジヤウ‐〕【胞状奇胎】

胎盤の一部となる絨毛膜(じゅうもうまく)の組織が、異常増殖して多数のブドウ状の嚢胞(のうほう)になり、胎児は死亡し流産となる妊娠異常。のちに絨毛癌(がん)を続発することがある。葡萄(ぶどう)状鬼胎。葡萄子(ぶどうご)。奇胎。

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家庭医学館の解説

ほうじょうきたい【胞状奇胎 Hydatidiform Mole】

◎胎盤(たいばん)を構成する絨毛(じゅうもう)の異常増殖
[どんな病気か]
 胎盤を形成する絨毛細胞の異常によっておこる病気を総称して、絨毛性疾患といい、胞状奇胎(奇胎)、絨毛がん(「絨毛がん」)、存続絨毛症(そんぞくじゅうもうしょう)(コラム存続絨毛症」)の3つが含まれますが、ここでは、胞状奇胎を中心に解説します。
 胞状奇胎は、胎盤を構成する絨毛が2mm以上にふくらみ(水腫状(すいしゅじょう)変化)、白いぶどうの房(ふさ)のようになる病気です。
 絨毛の全部が奇胎化(水腫状変化)したものを全胞状奇胎(ぜんほうじょうきたい)(全奇胎(ぜんきたい))、部分的に奇胎化したものを部分胞状奇胎(ぶぶんほうじょうきたい)(部分奇胎(ぶぶんきたい))、奇胎化した絨毛が子宮筋肉層の中に侵入したものを侵入胞状奇胎(しんにゅうほうじょうきたい)(侵入奇胎(しんにゅうきたい))といいます。
 全奇胎では、子宮内に胎児は存在しませんが、部分奇胎では、胎児が異常なく育つことがあります。
 侵入奇胎の一部を除き、奇胎自体は悪い病気ではありませんが、絨毛がんが発生しやすいので(部分奇胎を除く)、奇胎治療後、厳重な管理が必要です。奇胎治療後に侵入奇胎が発生する率は8~10%です。
 胞状奇胎はアジア地域に多い病気で(欧米の3~4倍)、日本でも分娩(ぶんべん)350~500回に対して1回の割合で発生し、発生数は以前とほとんど変わっていません。また、侵入奇胎の頻度も変わっていません。奇胎妊娠をくり返す率は1~2%です。
[症状]
 胞状奇胎は受精卵の異常であるため、まず妊娠していることが前提となります。
 70%の症例でhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の値が、正常妊娠よりも高くなります。
 特徴的な症状としては、妊娠初期の子宮出血、妊娠週数に比べて子宮が大きい、強いつわりなどがあります。
 また、侵入奇胎の約20%は、肺などへの転移をおこすことがあり、その部位での特有な症状から、産婦人科以外の科で気づかれることもあります。
[原因]
 全奇胎の原因は、受精卵の異常(雄核発生(ゆうかくはっせい))です。異常卵子ができる可能性の大きい40歳以上の高齢妊娠、あるいは20歳以下の若年妊娠では、妊娠数に対する発生率が高くなります。
[検査と診断]
 前記の症状が現われる前でも、妊娠初期の超音波検査で、絨毛の水腫状態がみられれば診断できます。
 最近は、妊娠8~9週になっても胎児が見えない場合には、流産として処置されるので、奇胎の診断時期も早くなっています。
 侵入奇胎は、先行妊娠(直前の妊娠をいい、多くは奇胎)の終わった後で、hCGが長期にわたって検出されるときに、「絨毛がん診断スコア」で診断されます。
[治療]
 子宮内容掻爬術(しきゅうないようそうはじゅつ)(子宮の内容物を除去する手術)を、約1週間ほどの間隔で2回行ないます。高齢者の場合は、子宮を摘出することもあります。
 奇胎を排出した後は、絨毛がんが発生していないか、厳重に管理する必要があります。侵入奇胎の場合は、手術療法抗がん剤による化学療法が基本になります。
●予防と管理
 胞状奇胎の発生は予防できません。しかし、絨毛がんあるいは侵入奇胎の発生は、定期的な観察・管理によって早期に発見することができます。そのためにも、奇胎治療後の管理がたいせつです。侵入奇胎の約90%は、全奇胎および部分奇胎に続いて発生しています。
 奇胎治療後の妊娠は、hCGが検出されなくなり、基礎体温が二相性を回復し、正常な月経周期を2、3回確認できれば、新たに妊娠してもさしつかえありません。
 しかし、奇胎治療後10年以上たってから絨毛がんが発生することもあるので、定期検診は必ず受ける必要があります。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほうじょうきたい【胞状奇胎 hydatidiform mole】

胎盤を構成し,胎児の栄養をつかさどる絨毛(じゆうもう)が腫大,囊胞化したものをいう。肉眼的にブドウの房のような外観を呈することからブドウ状奇胎と俗称される。従来,胎盤の腫瘍と考えられていたが,細胞遺伝学的研究から染色体異常による流産の特殊型と考える説が現在は多い。胞状奇胎が臨床的に注目されるのは,本症から高率に絨毛癌が発生するためである。 絨毛のすべてが囊胞化したものを全胞状奇胎(または単に奇胎ともいう)といい,通常胎芽は欠如している。

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大辞林 第三版の解説

ほうじょうきたい【胞状奇胎】

妊娠初期に胎盤を形成する絨毛膜の絨毛が病的に増殖し、葡萄ぶどう状の囊胞のうほうになって子宮腔を満たすもの。大出血を伴って流産したり、癌が発生する確率が高い。俗に「ぶどう子」と呼ばれる。葡萄状鬼胎。

出典|三省堂
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知恵蔵miniの解説

胞状奇胎

異常妊娠の一つで、胎盤を構成する絨毛が正常に発育せずに膨らみ、ぶどうの房状になる疾患。受精卵の異常が主な原因とされ、特に40歳以上で発生率が上昇する。発症すると、一般に妊娠ホルモンの値が正常妊娠の場合より高くなり、強いつわりや出血などの症状が現れる。治療では子宮内の奇胎組織を除去する手術が行われるが、奇胎化した絨毛が子宮筋肉層の中に入り込んでいる場合は化学療法も用いられる。胞状奇胎の後に絨毛がんが発生するケースもあるため、術後も経過観察が必要とされる。

(2015-10-14)

出典|(株)朝日新聞出版発行
(C)Asahi Shimbun Pubications Inc
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

胞状奇胎
ほうじょうきたい
hydatidiform mole

ブドウ状奇胎ともいう。妊娠初期に,絨毛膜細胞が異常増殖して子宮腔全体を,ブドウの房状の組織で満たす異常妊娠の一つ。胎児は消失する。不正出血妊娠中毒症状を示すことが多く,子宮は妊娠月数に比べて大きくなる。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

胞状奇胎
ほうじょうきたい
hydatidiform mole

単に奇胎ともいい、胎盤絨毛(じゅうもう)の上皮細胞である栄養細胞層(トロホブラストtrophoblast)が異常に増殖する絨毛性疾患で、絨毛がブドウ状の嚢胞(のうほう)になり、胎児は消失して子宮腔(くう)内全体がブドウの房で満たされたような状態になってしまう。また、奇胎が子宮壁の筋層内まで深く侵入して増殖するものを侵入胞状奇胎といい、侵奇と略称される。かつては破壊胞状奇胎(破奇)とよばれていた。
 絨毛は胎盤と子宮壁を連絡する母体にもっとも近い胎児側の組織で、その膜面に相当するものがトロホブラストである。したがって、奇胎は妊娠が発端となるが、真の原因はまだ不明で、妊卵自体に病因があると考えられており、ヒトだけにみられ、動物にはおこらないことも注目されている。また、奇胎の発生率は東洋では日本を含めて欧米より高く、200~500例の妊娠に一例の割合でみられ、比較的若い妊婦と40歳以上の高齢妊婦に目だつ。
 一般に、妊娠月数のわりに子宮が大きいとか、不規則な不正出血(ときに嚢胞が混じることもある)をはじめ、つわりが強く妊娠中毒症状が早めに現れるような場合に疑われる。このほか診断には、尿中HCG(ヒト絨毛性性腺(せいせん)刺激ホルモン)の異常高値をはじめ、超音波検査や骨盤血管造影なども行われる。
 胞状奇胎は、絨毛の全部が嚢胞を生ずる全胞状奇胎(単に奇胎という場合はこれをさしている)と、流産・早産・正常産を問わず胎盤の一部に嚢胞がみられるもの、すなわち絨毛の一部のみが嚢胞化した部分胞状奇胎、および前述の侵入胞状奇胎に分けられる。侵奇の場合は、胎盤排出後にも子宮壁の筋層に嚢胞が残ったり、ひどい場合は子宮壁を穿孔(せんこう)して致命的な大出血をおこしたり、しばしば肺転移をみることもある。しかし、胞状奇胎のほとんど大半は経過や予後が良好で、治癒後の出産も可能となり、非悪性といえるものであるが、なかにはもっとも悪性な絨毛上皮腫(しゅ)(絨毛癌(がん))が数か月から数年のうちに続発するおそれもある。
 治療としては、早期に診断して子宮内容除去術(掻爬(そうは))を行うが、40歳以上で子供が欲しくない場合や、大出血のおそれがある侵奇の場合は子宮摘除術を行う。また、続発性の絨毛癌を予防する意味で化学療法を行うこともある。通常、メトトレキサート(MTX)やアクチノマイシンDなどが用いられる。
 なお、掻爬後の月経再来は、通常の人工妊娠中絶や流産後より遅れ、2か月くらいしてからみえ始め、3か月以上経過すると90%くらいまでみられる。次の妊娠は、順調な場合でも1年間は避けるようにする。また、絨毛癌を監視する意味で、掻爬後3か月間は二週目ごと、以後1年までは月1回、1~2年は2か月に1回、2~3年は3か月に1回の割合で定期検診を受ける必要があり、少なくとも4年間はフォローアップして絨毛癌の早期発見に努めることが望ましい。[新井正夫]

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