デジタル大辞泉 「腹膜偽性粘液腫」の意味・読み・例文・類語 ふくまく‐ぎせいねんえきしゅ【腹膜偽性粘液腫】 腹膜にゼラチン状の粘液が貯留・充満する病気。虫垂や卵巣にできた粘膜性腫瘍しゅようが腹膜に転移して起こる場合が多い。腹部が膨満し、食欲不振・腹痛・吐き気などを呈する。発症率は100万人に1人程度とされ、原因は不明。治療法は確立されていない。腹膜偽粘液腫。腹膜仮性粘液腫。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
家庭医学館 「腹膜偽性粘液腫」の解説 ふくまくぎせいねんえきしゅふくまくかせいねんえきしゅ【腹膜偽性粘液腫(腹膜仮性粘液腫) Pseudomyxoma Peritonei】 [どんな病気か] 粘液やにかわのようなべとべとした物質(ムチン)をつくる腫瘍(しゅよう)(嚢腫(のうしゅ))が腹膜に発生します。 ここでつくられたムチンが徐々に腹腔(ふくくう)内にたまり、やがて充満します。 [症状] 嚢腫が発生しても、それとわかる自覚症状はないのがふつうです。 嚢腫が大きくなるのに時間がかかり、かなりたってから、腹部の張り、全身のだるさ、食欲不振などを感じることがあります。 やがて腹部がふくれてきて、腹水(ふくすい)がたまったようになって医療機関を受診し、発見されるケースが多くなっています。 [原因] 卵巣(らんそう)の偽粘膜嚢腫(ぎねんまくのうしゅ)や虫垂粘液瘤(ちゅうすいねんえきりゅう)をきっかけとして発生することが多いのですが、何のきっかけもなしに発生するものもあります。 良性(粘液性嚢胞腺腫(ねんえきせいのうほうせんしゅ))のことも、悪性(粘液性嚢胞腺がん)のこともありますが、もっとも多くみられるのは、良性と悪性の中間の性質をもつ境界病変です。 [治療] 良性の腫(は)れ物で、生命にかかわるようなことはないのですが、根本的に治すのはむずかしいものです。 根本的な治療は、開腹して、嚢腫のできている部分を手術で摘出(てきしゅつ)することですが、切除がむずかしい場合が少なくありません。 嚢腫を切除後、腹膜に付着しているムチンを洗浄・排出することが必要ですが、完全には取ることができないのがふつうです。 これは、発見が遅れることが大きな原因と考えられています。 たとえ、嚢腫の切除ができても、再発することがあります。 この場合は、開腹して再手術をするか、くり返し穿刺(せんし)を行なってムチンを排出することになります。 出典 小学館家庭医学館について 情報