労働者が現行の賃金水準に満足せず、就業しないことにより生ずる失業。このタイプの失業の一つとして、現在就業可能な職につかず、より有利な職を探す活動に従事するため生ずる職探し失業job search unemploymentがある。職探しのコストが高いため、失業中であるにもかかわらず職探し活動をしない労働者は、自発的失業とはいわず、ドロップ・アウトという。このような自発的失業の概念に対し、J・M・ケインズは、現在の賃金水準で働く意思があっても有効需要の不足のために就業できない非自発的失業の概念を中心に据えて失業現象を解明し、彼の経済学の体系を打ち立てた。
[内島敏之]
(荒川章義 九州大学助教授 / 2007年)
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…経済理論的には,完全雇用は,現行の賃金率・価格のもとで雇主が需要したいと考える労働量と労働者が供給したいと考える量が一致する労働市場の均衡状態とみなされる。労働市場の均衡において就業していない労働者は,現行の実質賃金率において労働よりも余暇を選択しているため,自発的失業となる。したがって完全雇用においては,現行の賃金・価格で働きたいが職がないという非自発的失業は存在しない(非自発的失業が存在する状態を不完全雇用underemploymentという)。…
… 失業は三つのタイプに分類される。第1は,提供される雇用条件では働きたくないから働いていない状態で,それを自発的失業とよぶ。第2は,たえず変化する状況のもとでは求人と求職がうまく出会わず,そのためにおこる失業で,摩擦的失業とよばれる。…
※「自発的失業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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