自省録(読み)じせいろく(その他表記)Ta eis heauton

精選版 日本国語大辞典 「自省録」の意味・読み・例文・類語

じせいろく【自省録】

  1. ( 原題[ギリシア語] Tōn eis heauton biblia ) 随想マルクス=アウレリウス著。ローマ七賢帝の一人である著者がギリシア語で書いた自己との対話録。宇宙理法と理法に統一される万物流転無常観を説く。瞑想録

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改訂新版 世界大百科事典 「自省録」の意味・わかりやすい解説

自省録 (じせいろく)
Ta eis heauton

ローマ皇帝マルクス・アウレリウスが多忙な政務軍務の中でギリシア語で書きつづった記録。その題名は〈タ・エイス・ヘアウトン〉と呼ばれているが,次に〈ヒュポムネマタhypomnēmata〉,あるいは〈パランゲルマタparangelmata〉という名詞を補充して,その題名の意味を〈おのれみずからについての“覚書”〉,あるいは〈おのれみずからへの“励告”〉と解するのが普通である。この記録そのものは公表の意図なしに書かれたものらしく,断章風な散文は内容的な一貫性を欠いている。だがそこにはローマ帝国の皇帝であると同時に人間であり,ストア哲学の徒である彼の誠実な苦しみがにじみでている。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「自省録」の解説

『自省録』(じせいろく)

ストア学派哲学者でもあったローマ皇帝マルクス・アウレリウス自分自身に対する戒め,励ましの意味で記録した断章風の書物。「魂」という「城砦」のうちに閉じ込もり,逆境に「堪え忍ぶ」ことを説いた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「自省録」の解説

自省録
じせいろく
Ta eis heauton

古代ローマ帝国の皇帝マルクス=アウレリウス=アントニヌスの著作
ストア哲学の代表作。自己の行動・信条をいましめる言葉をギリシア語で書きつけた自省録。

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世界大百科事典(旧版)内の自省録の言及

【マルクス・アウレリウス】より

… 彼は養子縁組によって継承されてきた五賢帝時代の最後に位置し,しだいに濃くなる帝国の衰退の兆しに直面せざるをえなかった。統治の大部分は対異民族戦争に費やされ,その著《自省録》は陣中で書きつづられた。行政においては先帝を受け継いで官僚化を進め,ことに財政役を増やした。…

※「自省録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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