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船体強度 せんたいきょうどhull strength

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

船体強度
せんたいきょうど
hull strength

船体が受ける力は多方面にわたるが,これに対応する船の強さ。船体強度は縦強度,横強度,局部強度の3つに大きく分けられる。縦・横強度は,それぞれ縦方向,横方向の強さであり,局部強度は船体を構成している各部分それぞれの強さをさす。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版の解説

せんたいきょうど【船体強度】

船の安全性は,大別して,過度に揺れたり転覆を起こさないための安定性と,船の構造が大きく変形したり破壊したりしないための強さとに分けられ,船舶工学では後者を船体強度と称している。商船においては,建造時,進水時,航行時,入渠(にゆうきよ)時,衝突時,座礁時の強度を検討するが,航行時以外は船の一生の中で期間が限定された特殊な状態であり,強度における考慮も局部的であるので,通常,船体強度といえば航行時における強度を指す。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

船体強度
せんたいきょうど

船体の強さ。静かに浮いている船体には、自重のほか、積んでいる貨物や燃料の重さと海水の圧力または浮力が作用している。航走し揺れている船には水圧や波による力が変動しながら繰り返して作用する。また、荒れた海を高速で走るときは船首付近に波が激しくぶつかって衝撃的な力が働く。船体はこれら種々の力に耐えられるように設計、建造しなければならない。[森田知治]

縦強度

船の中央部へ貨物や燃料を集中して積むと、中央部では重力が浮力より大きくなり、船体は中央部が下にへこんだ形に曲げられる。これは、板を敷いただけの橋の中央に重量がかかったときの曲がりに似ている。このような曲がり方をサギングsaggingという。反対に、船の前部と後部へ重量を集中して積むと、中央部を上に反らすように曲がる。この曲がり方をホギングhoggingという。また、積載物を均等に積んでいる場合でも波の力で同じような変形が生じる。波に直角に進んでいる船を考える。船の側面をみると、波の山または谷が船首から船尾のほうへ次々と通過して行く。波の谷が船の中央部へ位置したときは、中央部では重力が浮力より大きくなり、船首尾部では浮力が重力より大きくなるのでサギングの状態になる。次に、波の山が中央部へくると、まったく逆の力がかかりホギングの状態になる。波浪中を進む船はつねにこのような変形を繰り返していることになる。積載物が船体中央部分に集中しているときは波によってホギングが強調され、船首尾部に集中しているときはサギングが強調される。これらの変形を縦曲げといい、それに対抗する船体の強度を縦強度という。サギングでは、あたかも橋の中央に大ぜいの人間がのった場合のように、船底が引っ張られ甲板が圧縮され、その作用は船体中央部で最大になる。ホギングでは逆に、甲板部が引っ張られ船底部が圧縮される。縦強度が足りないと甲板部や船底部がつぶれたり裂けたりする。船体は、その船のあらゆる積み荷の状態や遭遇するであろう波浪を考えて、縦曲げが最大になっても耐えられるように設計され、甲板、船側外板、船底外板、二重底の頂板、縦隔壁およびこれらに固着した縦方向の補強材や桁材(けたざい)がその強度を受け持っている。[森田知治]

横強度

縦強度に対し、船の横方向から作用する力に対抗する強度をいう。船が横方向からの波を受けると、一方の船側に大きな水圧がかかり、ちょうどマッチ箱をつぶすような変形が生じる。また、静かな海面に浮いていても船側を内側へ、船底を上側へへこまそうとする力が働く。これら横方向の力には、横式構造ではビーム、フレーム、フロア板が四角い枠組みをつくり、甲板や外板とともに対抗している。また、横隔壁や柱材も横強度を受け持つ重要な構造である。縦式構造では、横式構造のビーム、フレーム、フロア板にかわるものとして、トランスリングとよばれる大きな横桁が要所要所に配置されている。[森田知治]

局部の強度

以上は船全体に働く力とそれに対抗する強度であるが、そのほかに船体の一部分だけにとくに作用する力をも考慮しなければならない。たとえば、主機関、プロペラ、荷役機械、揚錨(ようびょう)機などは、作動時の力あるいはそれ自身の重量がとくにその箇所だけに別個の力を及ぼす。また、荒れた海を航海する船の船首や船尾は波が激突して大きな衝撃(パンチングpanting)を受ける。縦揺れが大きくなると、船首からすこし後方で船底が平らになり始める部分が水面を強くたたく(スラミングslamming)ことがあり、これによって大きな損傷を受けた例もある。これらに対抗する局部強度についても、それぞれ作用する力の限度を推定し、対抗できるだけの構造が設計される。
 船体は立体的な構造物であるから、作用する全部の力を総合して三次元的に解析すべきものである。そのためには膨大な計算が必要であり、従来はそれが不可能であったため、ここで説明した縦、横、局部に分けた近似的な取扱いが長い間続いていた。しかし、コンピュータの発達に伴い、1970年ごろから立体的な構造解析が可能になり、種々の手法が開発され、現在では従来より非常に高精度な解析が行われている。[森田知治]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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