芝生で伸びた芝草を刈り込む機械。英語ではローンモーア。生育の盛んなときに定期的に適度な高さに刈り込むことにより,葉先をそろえて芝生面を滑らかにするだけでなく,芝草の分げつが促進され密度の高い芝生が得られ,芝生を美しく保つことができる。芝刈りは芝の生長に合わせて行うが,月に数回2~3cmの長さに刈り込む。刈込みは芝生の管理作業のなかでも最も労力を要するため機械化された時期も早く,1800年代初めにイギリスでリール式芝刈機が考案されている。リール式芝刈機の刈刃部は,数枚のらせん状に湾曲したリール刃が水平軸回りに回転し,固定受刃との擦合せで芝生を刈り上げる型式のもので,現在に至るまで芝刈機刈刃部の基本型として最も広く利用されている。リール式芝刈機は刈り高さが正確で均一な刈込みができ,人力式と動力式がある。前者は手押式のもので,車輪の回転力を歯車伝動装置により増速伝達してリール刃を回転させる。後者には電動式とエンジン式があるが,刃の回転のみを動力で駆動する手押しタイプと,進行も動力で行う自走タイプがある。刈幅は20cm程度の手押式から,ゴルフ場などで使用される80cmのものまで種々である。さらに数台の刈刃部をトラクターで牽引して数mの刈幅をとれるギャングモーアのような大型のものもある。リール式のほかにはロータリー式芝刈機がある。これは垂直軸に取り付けられた水平な2枚の刃が高速回転して芝を刈り込むもので能率が高い。
執筆者:岡本 嗣男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
芝生を刈りそろえる機械で、ローンモーアlawn mowerともいう。家庭用には人力用の手押しハンドモーア、小型モーターや小型エンジン付きモーアがある。刈取り部は、(1)螺旋(らせん)状に湾曲した細長い刈り刃を等間隔につけて円筒状にしたものを回転させ、直線状の受け刃のところで挟み切るもの、(2)水平に高速回転する各種形状の刈り刃で切るもの、(3)垂直に高速回転する刈り刃で下から上に切るもの、の3タイプが使われている。草を傷めないで芝草を短く刈るために、刈り高さを決める車輪やローラーが刈り刃のそばに装着されている。刈り取った草は放置され、あとで集められるのが普通であるが、芝刈機にホッパー(籠(かご))をつけ、刈取りと同時に草を収納できるものもある。ゴルフ場などの広い面積には、トラクター用の大型機や自走式専用芝刈機がある。芝刈機1台当りの刈り幅は家庭用の手押し式では40センチメートル以下、動力用では1メートル以下が普通である。業務用では2メートルぐらいであるが、広い刈り幅では地面の小凹凸に追従できず刈り高さがそろわないため、刈取り能率をあげるには、トラクターの前後左右に複数をセットする。
[原 令幸]
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