花影(読み)カエイ

デジタル大辞泉 「花影」の意味・読み・例文・類語

か‐えい〔クワ‐〕【花影】

月の光などによってできる花の影。特に、桜の花の影。「春宵花影

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精選版 日本国語大辞典 「花影」の意味・読み・例文・類語

か‐えいクヮ‥【花影】

  1. 〘 名詞 〙 月などの光によって花の落とす影。
    1. [初出の実例]「高人招友会春亭、花影闌残月一庭」(出典:蕉堅藁(1403)春夜看月)
    2. 「月光西にわたれは花影東に歩むかな」(出典:俳諧・蕪村自画讚(1777))
    3. [その他の文献]〔温庭筠‐生禖屏風歌〕

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普及版 字通 「花影」の読み・字形・画数・意味

【花影】か(くわ)えい

花かげ。宋・軾〔月夜、客と酒を杏花の下に飲む〕詩 衣を(かか)げして、影を踏めば 炯(けい)として水のを涵(ひた)すが如し

字通「花」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「花影」の意味・わかりやすい解説

花影
かえい

大岡昇平小説。『中央公論』の1958年(昭和33)8~10月号、58年12月~59年3月号、5~6月号、8~11月号に連載。61年5月中央公論社刊。毎日出版文化賞、新潮社文学受賞ヒロイン葉子はもう20年近く銀座の女給をやってきた、その意味では典型的な消費社会の浮き草のような女で、30歳になっても郵便貯金のかけ方もわからないような生活者として無知なところがあり、男女性愛の駆け引きにしか人生の実態を知らない。その状況はおのずからこの作者の得意な実験小説的設定となった。彼女は相手の感情が実によく読めるのだが、打算的に利用しきれない無垢(むく)な面があり、人間関係がすべて仮象のように思われたとき死を選ぶ。その哀感を描いた傑作である。

亀井秀雄

『『花影』(集英社文庫・新潮文庫)』

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デジタル大辞泉プラス 「花影」の解説

花影

大岡昇平の小説。1961年刊行。同年、第15回毎日出版文化賞、第8回新潮社文学賞(文学・評論部門)受賞。

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