アメリカの有名な教育者エーマス・オールコットの娘ルイザが、出版社の依頼で書いた自伝的小説。二部に分けて、1868、69年に出版された。少女向きの小説のつもりが、一般の読者を多く得た。内容は、ニュー・イングランドの田舎(いなか)町の堅実な気風を背景に、メグ、ジョー、ベス、エミーの四人姉妹の少女期の家庭生活を描いたもの。4人の性格もそれぞれ書き分けられ、作者にあたるジョーはおてんばな性格で、将来、作家志望、姉のメグは美しく淑女然としている。ベスは「はにかみや」で、音楽が得意、末のエミーは将来、有名な画家を志し、自分のわがままをなんとか直そうと努力する。この4人をめぐってさまざまな事件が起こるが、平凡な日常生活のなかで助け合ってけなげに明るく生きる描写は多くの読者の共感を得て、大好評だった。小説家としての地位を確立した彼女は、その後も同じ題材をもとにした続編を出した。彼女の作品は各国語に訳され、愛読されている。映画化された「若草物語」は続編を加えた筋立てになっている。アメリカの児童文学にリアリズムを導入した彼女の功績は大きい。
[秋山 健]
『松本恵子訳『四人姉妹』(新潮文庫)』▽『遠藤寿子訳『四人の姉妹』上下(岩波文庫)』▽『吉田勝江訳『若草物語――四少女 一』(角川文庫)』▽『恩地三保子訳『若草物語』(旺文社文庫)』
アメリカの作家L.M.オルコットの小説。1868-69年刊。ニューイングランドの小さな町に住むマーチ家の4人の少女を中心とする家庭小説。物語の人物・背景は,コンコードの進歩的教育者ブロンソン・オルコットを父にもつ作者自身の家族と日常生活に基づいている。質素で敬虔なピューリタン的伝統をもつ家庭での子どもたちの個性豊かな自己向上の努力がリアルに描写されている点と,作者自身を思わせる次女ジョーの新しい女性としての思想の芽生えに新鮮な味わいがある。
執筆者:滝田 佳子
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…家計を助けるため16歳で教師になる一方,文筆に励む。作家としての地位を築いたのは,彼女自身の4姉妹の日常生活の現実を描写したベストセラー《若草物語》(1868‐69)によってである。当時流行の女流家庭小説の中にあって,その価値を高めているのは,ピューリタン精神と人間への信頼である。…
※「若草物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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