茶すり山古墳(読み)ちやすりやまこふん

日本歴史地名大系 「茶すり山古墳」の解説

茶すり山古墳
ちやすりやまこふん

[現在地名]朝来市和田山町筒江

円山まるやま川と与布よう川との合流点の南側、円山川東岸の小盆地の奥に突出た尾根突端に築造された、最大径約九〇メートル、高さ約一八メートルの二段築成の大型円墳。平成一六年(二〇〇四)に国の史跡に指定された。墳頂部の標高は一四四メートルで、墳頂部平坦面は長径三六メートル、短径二七メートルの楕円形を呈する。墳丘は尾根を利用しているため、盆地に面する側を大きく造る一方、尾根上側の切断は小規模で、視覚的効果を狙って築造の手間を省いているようである。そのため、墳頂平坦部は墳丘の中心から尾根上側にずれた位置にある。墳頂平坦面の周囲に沿って、円筒埴輪・朝顔形埴輪を立て並べ、幅約二メートルの段築平坦面にも円筒埴輪を巡らせ、木製樹物たてもの(木製の埴輪状のもの)も規則的に立てられていたようである。また、段築平坦面より上の墳丘斜面には、地山の角礫を使用した葺石が認められる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「茶すり山古墳」の解説

ちゃすりやまこふん【茶すり山古墳】


兵庫県朝来(あさご)市和田山町にある古墳。但馬南部に広がる和田山盆地を望む、細い尾根の先端に造営された大型の円墳。この地は播磨(はりま)と但馬をつなぐ交通の要衝で、古代山陰道の郡部駅(こおりべのえき)の推定地にあたっている。2001年(平成13)に発掘調査が行われた結果、古墳は長径90m、短径78m、高さ18mの2段築成の円墳で、近畿地方では最大、全国でも4番目の規模であることが明らかになった。墳頂平坦面は長径36m、短径27mの楕円形を呈し、墳丘全体の規模からするとかなり広く、この地域の墳丘形態の特徴を示していた。墳丘は大部分が削り出しによって造られ、斜面の一部には葺石(ふきいし)が遺存し、墳頂平坦面およびテラス部からは円筒埴輪(はにわ)や朝顔形埴輪が、墳頂からは家形埴輪なども確認されたことにより、5世紀前半の築造と推定される。古墳時代の社会や政治動向、とりわけ畿内(きない)の中央政権と地域の首長の関わりを知るうえで重要とされ、2004年(平成16)に国の史跡に指定された。現在は、茶すり山古墳公園になっている。JR山陰本線梁瀬駅から車で約18分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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