菱コバルト鉱(読み)りょうこばるとこう(その他表記)sphaerocobaltite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「菱コバルト鉱」の意味・わかりやすい解説

菱コバルト鉱
りょうこばるとこう
sphaerocobaltite

炭酸第一コバルト鉱物方解石系。自形は方解石同様、菱面体あるいはこれを基調とする立体。微細結晶が球状集合をなすことも多く、また皮膜をなす。コバルトを主成分とする硫化物を含む鉱床の酸化帯に産する。鉱床の種類は中~深熱水鉱脈型、接触交代鉱床正マグマ鉱床など。日本では兵庫県朝来(あさご)市生野(いくの)鉱山閉山)から知られた。この場合の初生鉱物は含コバルト硫砒鉄鉱である。

 共存鉱物はコバルト華、方解石、含コバルト苦灰石(くかいせき)など。同定はコバルト華に似るが、劈開(へきかい)面上の光沢が弱く、硬度がいくらか高い。ただし皮膜状になると識別しがたい。命名は球顆(きゅうか)状を呈する外観と成分元素コバルトによる。

加藤 昭]


菱コバルト鉱(データノート)
りょうこばるとこうでーたのーと

菱コバルト鉱
 英名    sphaerocobaltite
 化学式   Co[CO3]
 少量成分  Ca,Ni,Mg,Fe
 結晶系   三方
 硬度    4
 比重    4.21
 色     深紅,灰赤,淡紅
 光沢    ガラス
 条痕    淡紅
 劈開    三方向に完全
       (「劈開」の項目を参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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