電気または光などの情報信号を一時蓄積しておき、ある時間経過してから読み取るようにした陰極線管。1940年代後半から1950年代後半にかけて開発され、レーダーディスプレー、走査方式の変換やオシロスコープ用に利用されている。一般に、情報信号を絶縁物に電荷の形で蓄積し、二次電子放出を利用してこれを読み出す方法が用いられている。
入力と出力の情報信号の種類によって、(1)電気入力→電気出力の信号変換型、(2)電気入力→光出力の直視型、(3)光入力→電気出力の撮像型、(4)光入力→光出力の光変換型、の四つのタイプに分けられる。
[岩田倫典]
画像信号の遅延素子やPPI方式のレーダー像からテレビ走査方式への変換、テレビ画像の狭帯域伝送などに利用され、さまざまな構造のものが考案されている。代表的なものはビジコン管に似た構造で、細かい金属網に絶縁物(CaF2など)が数マイクロメートルの厚さで蒸着された蓄積ターゲットをもっている。情報の記録は、ターゲットの絶縁物が電子ビームによる情報信号を電位パターンとして蓄積し、この電位パターンが網目を通過する情報読み出し時の電子ビームを変形するのを利用する。この形で対向する二つの電子銃を用いて記録と読出しを別個にできるものもある。
[岩田倫典]
信号変換型と似ているが、直視できる蛍光面をもつことと、フラットビームを用いて蛍光面全面を同時に照射する記録の読出し用の電子銃をもっていることが異なる。高輝度の出力像が観測できるので、レーダーやオシロスコープに用いられる。直視型には、中間調表示のできるものとオン・オフの二定電位を記録するものとがある。中間調表示型は、記録は変調した電子ビームを用いるが、再生はフラットビーム用の電子銃をグリッドで制御して行う。中間調のある映像が得られ、残光時間も調整できるが、読取り時間に制約がある。この形式には、改良型とマルチモード型とよばれるものもある。二定電位型は、蓄積管に普通用いられる二次電子を集める網状のコレクター電極が絶縁物に密着した構造をしている。ビームの当たったターゲットの表面電位はコレクター電位と同じで、当たらない部分は零(ゼロ)電位と低く、記録はほぼ永久に保存される。この形式のものにはメッシュレス型やマルチカラー蓄積管がある。
撮像型はイメージオルシコンとかビジコンなどの撮像管であり、光変換型はイメージ管である。この両者は蓄積管の一種ではあるが、現在では蓄積管とよばないことが多い。
[岩田倫典]
『大石巖他著『画像ディスプレイ』(1975・コロナ社)』
陰極線管の一種で,画像信号などを一時蓄積・記憶し,これをある時間経過した後で可視画像として表示したり,または電気信号として再び取り出す(再生)ことのできるものである。入力と出力の形式により次の4種類に分類される。
電気信号を入力して電気信号を出力するもの。画像信号の走査方式の変換などに使用する。
電気信号を入力して光(可視画像)を出力するもの。レーダー,オシロスコープなど観測用に使用する。
光(画像)を入力して電気信号を出力するもの(撮像デバイス)。
光(画像)を入力して光(画像)を出力するもの。赤外線など不可視画像を可視画像に変換するなどに利用する。
執筆者:大石 巖
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…電子ビームの偏向には電界偏向が用いられ,蛍光面としては一般観測用には視感度の高いP1,P2,P31など,写真撮影用にはP11が用いられる。(4)蓄積管 画像信号を一時的に保持,記憶し,再び信号を取り出すことのできるもの。蓄積管【大石 巌】。…
※「蓄積管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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