薄らぐ(読み)ウスラグ

デジタル大辞泉 「薄らぐ」の意味・読み・例文・類語

うすら・ぐ【薄らぐ】

[動ガ五(四)]
薄くなる。淡くなる。「もやが―・ぐ」
物事度合いが減る。程度が弱まる。「関心が―・ぐ」「寒さが―・ぐ」
[類語]薄れる薄まる薄める薄い浅い淡い淡淡しい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「薄らぐ」の意味・読み・例文・類語

うすら・ぐ【薄】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ガ五(四) 〙
    1. 物の密集している度合が少なくなる。まばらになる。うすろぐ。
      1. [初出の実例]「時に夜ふけ、人闌(ウスラギヌ)」(出典日本書紀(720)景行二七年一二月(北野本訓))
      2. 「所なく立ちこみたりし馬、車うすらぎて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
    2. 精神的、心理的なものの豊かさ、深さ、強さなどが減る。うすろぐ。
      1. (イ) 世間の道徳的な心情や人の情、愛情、評価などの程度が弱くなる。
        1. [初出の実例]「大方のおぼえのうすらぎ給ふ事はなけれど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)野分)
      2. (ロ) 感情、感覚などの度合が弱まる。
        1. [初出の実例]「今はつつましさうすらぎて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
        2. 「少し嫉妬の気の薄らぎし節(とき)」(出典:人情本・英対暖語(1838)五)
    3. 物の厚み分量が減る。うすろぐ。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
      1. [初出の実例]「あづまやの軒のたるひのうすらぐは雪かきわけて春や立つらん〈肥後〉」(出典:永久百首(1116)冬)
    4. 物の色合いなどの濃度、鮮明度が少なくなる。うすろぐ。
      1. [初出の実例]「きぬの色ども思ひ思ひにうすらぎたり」(出典:讚岐典侍(1108頃)下)
    5. 物事の程度、度合が弱まる。うすろぐ。
      1. [初出の実例]「おひおひさやうなうはさもうすらぎまして」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二)
      2. 「高い咳嗽(せき)日毎に薄(ウス)らいで行くので」(出典:思ひ出す事など(1910‐11)〈夏目漱石〉三三)
    6. 能力、特に視力などが弱まる。
      1. [初出の実例]「年を取るちうと、もう眼がさっぱり薄らいで」(出典:煤煙の臭ひ(1918)〈宮地嘉六〉七)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙うすらげる(薄)

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