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薔薇物語 ばらものがたりRoman de la Rose

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

薔薇物語
ばらものがたり
Roman de la Rose

13世紀フランスの寓意 (アレゴリー ) 文学の最高傑作。中世文学中最も愛好され,後代に多大の影響を与えた。最初 1230~40年頃ギヨーム・ド・ロリスオウィディウス,クレチアン・ド・トロアらの影響を受け,従来から扱われた題材を用いて 4058行の物語を著わした。女性を茨に囲まれた薔薇に擬した比喩的な物語の体裁で恋愛心理を図式化し,宮廷風恋愛の掟を説き,古典的教養を交え教化する目的がロリスの作品の特徴である。 75~80年,ジャン・ド・マンがそれを未完とみなして書き継ぎ,1万 7722行の膨大な続編を加えた。前編の女性賛美の恋愛観を真向から否定し,作者の豊かな学識に基づく哲学的教化的傾向,饒舌な説教臭が一層顕著になった。女性に対する大胆で痛烈な風刺はクリスチーヌ・ド・ピザンらとの激しい論争を引起した。

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デジタル大辞泉の解説

ばらものがたり【薔薇物語】

《原題、〈フランス〉Roman de la Rose》中世フランスの教訓寓意詩。ギョーム=ド=ロリスによって1225~1240年に書かれた第一部は宮廷趣味の恋愛作法を幻想的に描き、ジャン=ド=マンによって1275~1280年に書かれた第二部は、愛欲的恋愛観を社会批評を交えて展開。

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百科事典マイペディアの解説

薔薇物語【ばらものがたり】

13世紀フランスの寓意文学。2部からなり,それぞれ文体も精神も異なる。前編はギヨーム・ド・ロリス作で,宮廷風騎士道恋愛作法を内容とする優雅な詩。後編はジャン・ド・マン作で,愛は理性と自然によって定義され,結婚,王権,騎士制度,聖職者などが合理主義的精神によって批判される。
→関連項目アレゴリーチョーサー

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世界大百科事典 第2版の解説

ばらものがたり【薔薇物語 Roman de la Rose】

フランス中世の韻文物語。作者を異にする前・後編からなり,前半4020行(ルコア版)はギヨーム・ド・ロリスGuillaume de Lorrisによって1237年頃に,後半1万7722行はジャン・ド・マンによって1275‐80年頃に書かれた。物語は作者が見た夢を語るという形をとり,恋の成就(バラを手折ること)と恋愛作法を,抽象的な観念を形象化・擬人化するアレゴリーを用いて描く。したがって物語は字義通りとアレゴリーの二重の読取りを必要とする。

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大辞林 第三版の解説

ばらものがたり【薔薇物語】

恋愛の作法を述べたフランス中世の寓意文学。前編は1225年から40年にかけてギョーム=ド=ロリスにより、後編はジャン=ド=マンにより1275年から80年にかけて書かれた。

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世界大百科事典内の薔薇物語の言及

【ルナール】より

…ゴーティエ・ダラス,クレティアン・ド・トロアと並ぶ才筆の作家で,1222年から34年までボーベの司教であったミロン・ド・ナントゥイユの庇護を受けた。1200年ころ書かれエノー伯ボードゥアン4世に捧げた《鳶物語》《水鏡の歌》《薔薇の物語Roman de la rose》等,恋愛の微妙な心理を鋭い現実描写を背景にとらえた韻文(八音節)小説を残した。《薔薇の物語》は13世紀のアレゴリー詩《薔薇物語》との混同を避けるため原題によらず,作中の主人公の名前を取って19世紀以来《ドールのギヨーム物語Guillaume de Dole》と今では呼ぶ。…

【アレゴリー】より

…近代小説の立場からすれば,一見,単純素朴とも思われるこの方法によって,中世の詩人,哲学者らは,人間の精神,心理,情念の世界を描き,人間の倫理的・宗教的課題を追求しようとした。《薔薇物語》(13世紀,フランス),ダンテの《神曲》(14世紀,イタリア),ラングランドの《農夫ピアーズの夢》(14世紀,イギリス),〈中世道徳劇〉,さらに近代にいたって,バニヤンの《天路歴程》(1678,84)など,寓喩的方法への依拠の仕方には,それぞれ深浅の差があり,またその主題も異なるが,いずれもアレゴリーの代表傑作と言いうる。アレゴリーはまた,近代において,社会的・政治的風刺の方法としても用いられた。…

【作法】より

…言動の範とするに足る例,避けるべき悪しき例を,筋の展開につれて学びとることができたからである。また,愛の夢想をアレゴリーの手法で精細に描写した《薔薇物語》(ギヨーム・ド・ロリス作,1220‐40)も,そのような役割を果たしえた。愛の諸相を分析した司祭アンドレの《恋愛術》の翻訳(1290)は,教条的な愛の作法書として機能したと思われる。…

【チョーサー】より

…こうしたいわば〈高級官吏〉としての多彩な経歴から得た人間理解の深さは,後期作品のリアリスティックな人間観によく表れている。 習作時代は,もっぱらG.deマショー,E.デシャン,J.フロアサールの作品や《薔薇物語》など,当時宮廷に流行したフランス文学の影響を受け,みずからも《薔薇物語》の英訳を試み,今日その断片が残っている。この物語は,まったく対照的な2人の作者の手になり,その前編が理想主義的な宮廷風恋愛の伝統を賛美しているのに対して,後編はこれを否定し,愛の目的を種の保存と考え,現実主義的な世界観を展開する。…

※「薔薇物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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