中国の戦国時代に通行した銅貨。形がアリ(蟻)の顔を連想させることから,宋代から蟻鼻銭と呼ばれた。子安貝に似せた貝貨の発達したもので,銅貝とか鬼臉銭ともいう。平面形は楕円形ないしは卵形を呈し,表は弧面をなし1孔と文字を陰刻し,裏は平たんである。長さ2cm弱,厚さ約2mm,重さ3.5g程度であるが,大小は一定せず5gに達するものもある。表の文字は6種類に分けられ,その大多数が〈咒〉で,ほかに少数の〈各一朱〉〈君〉〈金〉〈行〉〈忻〉があるが字義不明。おもに河南・安徽・江蘇省など戦国時代末期の楚国領で発見される。100枚以上がまとまって出土することがあり,近年では1965年に湖北省孝感で4000枚前後,21.5kgの蟻鼻銭が出土している。
執筆者:町田 章
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
戦国時代の楚(そ)の青銅貨幣。蟻(あり)の顔に似ていることからその名称があり,未解読の文字を持つものが多い。長円形で端に穴があり,表面はややふくらむ。長さ1.5~2cm,重さ2~3g。河南,江蘇,安徽(あんき),湖南の各省から出土する。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…なお,方孔円銭と起源を異にする円孔円銭が布銭の流通圏でも造られ併用された。他方,南方の楚国の領内では初め貝貨の系統に属する銅貝が造られたが,戦国期には銅貝の一種,蟻鼻銭が鋳造され使用された。また楚では同じころ,金貨(金餅・金版)が造られ額面の大きな取引に用いられた。…
…殷代以降,戦国時代まで,タカラガイの実物のほか貝殻,骨角,石,土,銅などで模倣したものが多数つくられ,なかにはタカラガイの表面を金箔で包んだものもある。戦国時代の楚で通用した蟻鼻銭は貝貨の最終的なものとされている。また戦国末から後漢にかけて,雲南省一帯ではタカラガイ(子安貝)を貯蔵する特異な青銅製貯貝器(ちよばいき)が作られ,石寨山古墓などから発見されている。…
※「蟻鼻銭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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