被せる(読み)カブセル

デジタル大辞泉 「被せる」の意味・読み・例文・類語

かぶ・せる【被せる】

[動サ下一][文]かぶ・す[サ下二]
上から覆うように物を載せる。「帽子を―・せる」「布団を―・せる」
全体に注ぎかける。「頭から水を―・せる」「種に土を―・せる」
すでにある色や音などの上に、さらに他の物を加える。「映像ナレーションを―・せる」
を置かないで、すぐ次の言葉を言う。「―・せて言う」
人に罪や責任などを負わせる。着せる。「人に罪を―・せる」
[類語]覆う掛けるおっかぶせる包むくるむくるめる覆いかぶせる被覆する包装するパックする

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「被せる」の意味・読み・例文・類語

かぶ・せる【被】

  1. 〘 他動詞 サ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]かぶ・す 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙
  2. 上からおおう。かぶらせる。
    1. [初出の実例]「草などをすきのけそのあとに石をかぶせておいたやうにみえたぞ」(出典:玉塵抄(1563)一九)
  3. 水や粉などを上から浴びせかける。
    1. [初出の実例]「数百行の茎を植ゑたり、猶ほ犁(くは)取りて畦(うね)の土すら被(カブ)せたり」(出典帰省(1890)〈宮崎湖処子〉三)
  4. 歌舞伎で、一つの鳴り物の上に外の鳴り物を加える。
    1. [初出の実例]「音楽に琴唄をかぶせ」(出典:歌舞伎・高麗大和皇白浪(1809)大詰)
  5. ある言葉の上に他の言葉をのせる。
    1. [初出の実例]「『よく知りません』と(よく)の字を冠(カブ)せて跡を晦ますと」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉上)
  6. 前のことばにすぐに加えるようにして言う。
    1. [初出の実例]「『まあ…』と繁の呆れるのを、『いや、其れ以上かも分らん!』と冠(カブ)せて」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春)
  7. 人をあざむく。罪、責任などを人に負わせる。だます。
    1. [初出の実例]「虫付の者を被(カブ)せうと、〈略〉能ういかさまに懸ようとしたな」(出典:歌舞伎・富岡恋山開(1798)三幕)
  8. 男が女を犯す。また、女が色仕掛けで男を誘惑したり、積極的に迫ったりする。
    1. [初出の実例]「わたくしを無理に上雪隠へつれ行、せりふもなくかぶせし故、酔まぎれに不埒いたし候」(出典:歌舞伎・霧太郎天狗酒宴(1761)四幕)
    2. 「中居にかぶせられ(ぜに)おろされて」(出典:いろざとお客のあなづくし角力(1818‐30頃か))

かむ・せる【被】

  1. 〘 他動詞 サ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]かむ・す 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙かぶせる(被)
    1. [初出の実例]「在郷唄に冬至の通り神楽をかむせたる鳴り物にて幕明く」(出典:歌舞伎・四天王楓江戸粧(1804)二番目)

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