パック(読み)ぱっく(英語表記)pack

翻訳|pack

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パック」の意味・わかりやすい解説

パック
ぱっく
pack

パックは「包む」という意味。文字どおり、洗顔後にパック剤を顔面に塗り、人工的な皮膜で「包む」美顔術の一種。パック剤を塗ることで、表皮外気から遮断される。体温があがり、発汗作用が促されるので皮脂腺(せん)は開き、新陳代謝が旺盛(おうせい)になる。このため、皮膚老廃物排泄(はいせつ)され、同時にパック剤の乾燥する力が皮膚に一種のマッサージ効果をもたらす。また、皮膚表面から蒸発してパック剤との間にたまった水分によって、表皮の角質層はより柔軟になる。

[横田富佐子]

パックの基剤

〔1〕オイル・パック オイル・パック剤は、オリーブ油、椿油(つばきあぶら)などの天然油脂を湯煎(ゆせん)して脱脂綿にしみ込ませ、そのまま顔にのせる。〔2〕ビニル・パック 水溶性の粘液質を基剤としたもので、顔に塗布して乾燥すると完全に膜をつくるので、それをはがす。〔3〕粉パック 小麦粉を基剤とし、卵、牛乳蜂蜜(はちみつ)などを混ぜて練り合わせ、塗布する。

 いずれもパック後、乾燥したらそれを除き、化粧水などで表皮を引き締める。顔全体(目の周辺は避ける)に塗り、はがすときには無理に拭(ふ)き取って肌に必要以上の刺激を与えないことがたいせつである。

 その歴史は古く、古代ローマでも行われていて、米の粉やソラマメの粉を煮込んだ粥(かゆ)とか、パンをロバの乳に浸したものなどを、就寝前に顔に塗ったといわれる。日本でも江戸時代に、水分を多く含んだウリ類を切って顔にのせたりして肌を整える方法があったが、これも一種のパックとみることができる。

[横田富佐子]

簡単なパック術

小麦粉に水を加え、やや固めに練り、目的に即して、卵や果実、蜂蜜などを混ぜる。このパック剤の3分の2を顔面にむらなく塗り、ガーゼ(目と鼻の部分をくりぬいた顔の大きさのもの)を湿らせてのせ、残りをその上から塗る。20~30分ぐらい自然乾燥させ(赤外線を照射すると、より効果的)、ガーゼをあごのほうから巻き取る。化粧水で肌を引き締める。

 卵、牛乳、蜂蜜などは皮膚の新陳代謝を高める。卵は、白身膠着(こうちゃく)作用を利用して皮膚を清浄にする方法と、黄身に含まれているコレステロール、ビタミンなどの栄養を与える方法、さらに相乗効果を得るために双方を混ぜて用いる方法がある。牛乳は脂肪、タンパク質、ビタミンなどの皮膚への吸収、蜂蜜もタンパク質、酵素、ビタミンC、糖分などによる収斂(しゅうれん)、漂白作用に効果がある。

[横田富佐子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例