精選版 日本国語大辞典 「被物」の意味・読み・例文・類語
かずけ‐ものかづけ‥【被物】
- 〘 名詞 〙 ( 「かつげもの」とも )
- ① 人の労をねぎらい、功を賞して与える衣服類。衣服類を相手の肩にうちかけて与えたところからいう。祿(ろく)。纏頭(てんとう)。
- ② 祝儀として人に与える品物や金銭。芸人などに与える祝儀。纏頭(はな)。
- [初出の実例]「彼のお花には取わきてかづけ物など多くあたへ」(出典:人情本・春色江戸紫(1864‐68頃)二)
- ③ 外観だけよく見えて中身の悪いもの。くわせもの。にせもの。
- [初出の実例]「さもしくかづけ物にはあらず」(出典:浮世草子・色里三所世帯(1688)中)
- ④ だまされて、自分のしたこととして負わせられること。他人のはらませた子を、自分の子だとだまされて負わせられること。また、その子。
- [初出の実例]「かづけ物かもしれねども」(出典:浮世草子・庭訓染匂車(1716)二)
かぶせ‐もの【被物】
かずき‐ものかづき‥【被物】
きせ‐もの【被物】
- 〘 名詞 〙
- ① 衣服など、物の表面にかぶせ着せるもの。きせるもの。かぶせるもの。
- [初出の実例]「ひろう大にくびを打ををうやうに癭をかくすきせものをぬうぞ」(出典:玉塵抄(1563)四五)
- ② ある物の上に他の物をかぶせ包み、それと見せかけるもの。かぶせもの。〔羅葡日辞書(1595)〕
ひ‐もつ【被物】
- 〘 名詞 〙 労をねぎらい、功を賞して与える衣服類など。かずけもの。ひぶつ。
- [初出の実例]「心経会也。〈略〉事訖賜二御布施一。導師分被物二重。馬一疋」(出典:吾妻鏡‐文治四年(1188)正月八日)