(読み)クグツ

デジタル大辞泉 「裹」の意味・読み・例文・類語

くぐつ【×裹】

クグで編んだ手提げ袋。
潮干しほかれ三津みつ海女の―持ち玉藻たまも刈るらむいざ行きて見む」〈・二九三〉
糸・わらなどで編んだ網の袋。
絹綾を糸の―に入れて」〈宇津保・国譲下〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「裹」の意味・読み・例文・類語

くぐつ【裹】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物「くぐ」を編んで作った手さげ袋。
    1. [初出の実例]「塩干の三津の海女の久具都(クグツ)持ち玉藻刈るらむいざ行きて見む」(出典:万葉集(8C後)三・二九三)
  3. (わら)などで編んだ手さげ袋。〔袖中抄(1185‐87頃)〕
  4. 竹などで編んだ籠。
    1. [初出の実例]「床にくくつにしゃくやく生て」(出典:宗湛日記‐慶長四年(1599)閏三月二五日)

裹の語誌

( 1 )挙例の「万葉‐二九三」の歌における「くぐつ」は、刈った藻の入れ物で、海辺の草「くぐ」を編んだものと見られる。時代が下るにつれて藁、糸、竹などで編んだ袋や籠もいうようになり、また入れる内容も海藻から米、豆、絹、綾、石炭などに及んでいる。
( 2 )「くぐつ(傀儡)」は、袋類の「くぐつ」を作ることを生業とした漂泊民の集団で、人形遣いの技をもち、その人形を「くぐつ」に入れて歩いたことによるとの説がある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「裹」の読み・字形・画数・意味


14画

[字音] カ(クヮ)
[字訓] つつむ・まとう

[説文解字]

[字形] 会意
衣+果。果を衣中に加えるのは、招魂のための魂振り儀礼。死喪のとき行ったものであろう。〔説文八上に「纏(まと)ふなり。果聲」とするが、哀・襄・などの構造から考えると、この字も会意である。

[訓義]
1. つつむ、まとう。
2. ふくろにする。
3. ふさくさのみ。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕裹 豆々牟(つつむ)〔名義抄〕裹 ツツム・マトフ・メグル・ハナフサ・フサ

[熟語]
裹掖裹革・裹脚裹屍・裹傷裹蒸裹送裹瘡・裹足裹束裹肚・裹頭・裹飯裹包・裹薬裹糧
[下接語]
囲裹・盈裹・巾裹・軽裹・新裹・装裹・展裹・纏裹・布裹・覆裹・包裹・抱裹・裹・牢裹・籠裹

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android