西岡虎之助(読み)ニシオカ トラノスケ

20世紀日本人名事典 「西岡虎之助」の解説

西岡 虎之助
ニシオカ トラノスケ

大正・昭和期の日本史学者 元・早稲田大学教授;元・東京大学史料編纂所史料編纂官。



生年
明治28(1895)年5月17日

没年
昭和45(1970)年2月26日

出生地
和歌山県伊都郡見好村(現・かつらぎ町)

学歴〔年〕
和歌山師範〔大正5年〕卒,東京帝大文学部国史学選科〔大正10年〕卒

主な受賞名〔年〕
毎日出版文化賞〔昭和24年〕「民衆生活史研究」,朝日文化賞(昭31年度)〔昭和32年〕「荘園史の研究」(全3巻)

経歴
大正10年東京帝大史料編纂所に入り、以後30余年間、「大日本史料」の編纂に従う。その間、荘園に関する基本資料を発掘・収集し、昭和28年8〜16世紀におよぶ荘園の発達史を体系化した画期的な大著「荘園史の研究」を刊行した。またそれ以前の戦後間もない23年に出版した「民衆生活史研究」は、それまであまり顧みられなかった民衆の生活・文化の歴史を文学を中心にまとめたもの。29〜41年早稲田大学文学部教授を務め、津田左右吉の史学の学風を継承した。他の著書に「日本文学における生活史の研究」「新日本史図録」「日本女性史考」、「西岡虎之助著作集」(全4巻 三一書房)など。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西岡虎之助」の意味・わかりやすい解説

西岡虎之助
にしおかとらのすけ
(1895―1970)

歴史家。和歌山県出身。日本の古代・中世における社会経済史、なかんずく荘園(しょうえん)史研究者として著名。1921年(大正10)東京帝国大学国史学選科を卒業後、史料編纂(へんさん)所に勤務。『大日本史料』の編纂に従事するかたわら、荘園制の本質解明に努力した。皇国史観が歴史学界を席捲(せっけん)していた30年代に、古文書・古記録のみならず、文学作品、荘園絵図などを素材として、民衆生活の実態を追究することの重要性を主張した。54年(昭和29)に早稲田(わせだ)大学文学部に転じて、歴史学を講じた。66年に早稲田大学を去ってからは、死の直前まで荘園絵図の研究に没頭した。主要著書に『荘園史の研究』(岩波書店)、『民衆生活史研究』(福村書店)、『日本文学における生活史の研究』(東京大学出版会)などがある。

[佐藤和彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西岡虎之助」の意味・わかりやすい解説

西岡虎之助
にしおかとらのすけ

[生]1895.5.17. 和歌山
[没]1970.2.26. 東京
日本中世史家。和歌山県立師範学校卒業。2年間教職にあってのち 1918年東京大学文学部国史学科選科生となり,萩野由之について奈良時代を専攻。卒業後同大学史料編纂掛 (のちの史料編纂所) 補助嘱託となり,のち編纂官補,編纂官となり,『大日本史料』編纂と並行して,皇国史観にくみせず,民衆文化史,荘園の内部構造の研究に従事。 48年『民衆生活史研究』を刊行。 54年定年退官後は早稲田大学文学部教授として歴史教育にあたった。『荘園史の研究』 (1956) そのほかの研究で 57年毎日出版文化賞を受けた。 66年同大学退職後は荘園絵図の研究を続け,遺著『日本荘園絵図集成』 (76) がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「西岡虎之助」の解説

西岡虎之助 にしおか-とらのすけ

1895-1970 大正-昭和時代の日本史学者。
明治28年5月17日生まれ。大正10年母校東京帝大の史料編纂(へんさん)掛にはいり,荘園制の研究につとめる。戦時下でも歴史における民衆の生活,文化面の研究の重要性を主張した。昭和29年早大教授。昭和45年2月26日死去。74歳。和歌山県出身。著作に「民衆生活史研究」「荘園史の研究」など。

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367日誕生日大事典 「西岡虎之助」の解説

西岡 虎之助 (にしおか とらのすけ)

生年月日:1895年5月17日
大正時代;昭和時代の日本史学者。早稲田大学教授;東京大学史料編纂所史料編纂官
1970年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の西岡虎之助の言及

【荘園】より

…天皇による国家的土地支配を崩壊させた荘園の〈弊害〉を探るため国衙領にも着目した栗田寛,清水正健,天皇家領の伝領を研究した八代国治は前者に属する。伝領関係とともに荘民の多面的な生活を解明しようとした中村直勝,牧野信之助,荘園を律令制以前の田荘(たどころ)と結びつけ荘園絵図,倉庫,港湾にまで視野をひろげた西岡虎之助は後者に属する。その両者を結びつけたのが清水三男であった。…

※「西岡虎之助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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