西村重長(読み)にしむらしげなが

改訂新版 世界大百科事典 「西村重長」の意味・わかりやすい解説

西村重長 (にしむらしげなが)
生没年:1693?-1756(元禄6?-宝暦6)

江戸中期の浮世絵師。号は影花堂,のち仙花堂,別号百寿。画業のかたわら本屋を営んだと伝える。鳥居清信奥村政信影響を受けて育ち,18世紀前半,享保から宝暦にかけて美人画役者絵浮絵などの一般絵のほか,《絵本江戸土産》(1753)など絵本の分野にも活躍した。細判を3枚横に連ねた形式の〈三幅対もの〉や,墨の地に白抜き石摺絵(いしずりえ)など新機軸版画を考案したともいう。門人として石川豊信鈴木春信の名があげられるが確かではない。
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百科事典マイペディア 「西村重長」の意味・わかりやすい解説

西村重長【にしむらしげなが】

江戸中期の浮世絵師。影花堂,のち仙花堂と号した。漆絵多く浮絵を得意とし,細絵の三幅対形式を創案したといわれる。代表作に《新吉原月見の座鋪》《絵本江戸土産》など。門下石川豊信鈴木春信がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「西村重長」の解説

西村重長 にしむら-しげなが

?-1756 江戸時代中期の浮世絵師
江戸の人。鳥居清信,奥村政信の影響をうける。美人画,花鳥画,役者絵など画題は多彩で,細判三枚組を創始し,石摺絵(いしずりえ)を考案したという。宝暦6年6月27日死去。号は影花堂,仙花堂,百寿。

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朝日日本歴史人物事典 「西村重長」の解説

西村重長

没年:宝暦6.6.27(1756.7.23)
生年:生年不詳
江戸中期の浮世絵師で紅絵期から紅摺絵期を代表する絵師のひとり。江戸の人。版画と草双紙の挿絵を中心に多彩な活躍をみせた。西洋の透視図法にならった浮絵もあるが,親しみ深い味わいを持つ美人風俗画が最も多い。

(浅野秀剛)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の西村重長の言及

【浮絵】より

…近景が浮き出て見えるところからこの名が生まれたが,逆に遠景がくぼんで見えるところから〈くぼみ絵〉とも呼ばれた。1740年(元文5)の作と推定される奥村政信の《芝居狂言舞台顔見世大浮絵》などが早期の例で,寛保・延享年間(1741‐48)の第1次流行期に政信と西村重長が,また明和~天明年間(1764‐89)の第2次流行期に歌川豊春が多作している。浮世絵風景画の発展に寄与するところが大きかった。…

【浮世絵】より

…たとえば,西洋画の透視遠近法をいち早く取り入れて〈浮絵(うきえ)〉という新しいジャンルを開発したり,画面の比率が極端に縦に長い〈柱絵(はしらえ)〉とか,細判を3図分横につなげて一連とする三幅対物などを考案,流行させている。その弟子の利信(生没年不詳),あるいは西村重長が政信と並行して活躍,ほかに鳥居派様式を形式化させた2代清信,2代清倍の役者絵が一般の支持を集めて多産された。長春は美人立姿の掛幅画にとどまらず,画巻や屛風にこまやかな観察をいきとどかせた風俗描写を展開,人物と衣装,季節の情感を盛る浮世絵肉筆画の良き範例を示した。…

※「西村重長」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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