覆る（読み）クツガエル

デジタル大辞泉

くつ‐がえ・る〔‐がへる〕【覆る】

［動ラ五（四）］
１ ひっくり返る。裏返る。転覆する。「―・った船体」
２ 倒れ滅びる。「政権が―・る」
３ それまで正しいものとされてきた考え方や決定が根本から変えられる。「最高裁で判決が―・った」
４ （動詞に付いて、その語意を強める）たいそう…する。
「監げんの命婦、めで―・りて」〈大和・二二〉
[類語]倒れる・ひっくり返る・転がる・転げる・転ぶ・倒こける・転倒する・横転する・転覆する・倒壊する・卒倒する・昏倒こんとうする・潰れる

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

くつ‐がえ・る‥がへる【覆】

1. 〘 自動詞 ラ行五（四） 〙
2. ① 上下反対になる。ひっくりかえる。また、ころがる。
   1. [初出の実例]「其の甑、物に触れて覆(クツカヘル)」(出典：日本書紀（720）大化二年三月（北野本訓）)
   2. 「澳(をき)の方より俄に悪風吹来て、此船忽に覆(クツカヘ)らんとしける間」(出典：太平記（１４Ｃ後）二)
3. ② 国家や権力、旧家などが倒れる。
   1. [初出の実例]「将に覆(クツガヘ)らんとする日野屋の世帯を支持して行かうと云ふものが」(出典：渋江抽斎（1916）〈森鴎外〉三三)
4. ③ 既成のものが否定されて根本から変わる。
   1. [初出の実例]「自分達の手で作りあげた取調書が予審でガラリと覆へるやうなことがあると」(出典：一九二八・三・一五（1928）〈小林多喜二〉九)
5. ④ 補助動詞的に用い、動詞に添えてその動作を強める。
   1. [初出の実例]「監の命婦めでくつがへりて、もとめてやりけり」(出典：大和物語（947‐957頃）二二)

出典　精選版 日本国語大辞典