デジタル大辞泉 「転ける」の意味・読み・例文・類語 こ・ける【▽転ける/▽倒ける】 [動カ下一][文]こ・く[カ下二]1 たおれる。ころぶ。「石につまずいて―・ける」2 映画や芝居などの興行が当たらないままで終わる。3 ころげ落ちる。すべり落ちる。「ひとりでに羽織の―・ける品のよさ」〈柳多留・八〉4 心がある人に傾く。ほれる。また、芸妓などが男性に身を許す。「なんぼわたしがやうな芸子でも、さう安うは―・けぬわえ」〈洒・箱枕〉[類語]倒れる・ひっくり返る・覆くつがえる・転がる・転げる・転ぶ・転倒する・横転する・転覆する・倒壊する・卒倒する・昏倒こんとうする・潰れる 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「転ける」の意味・読み・例文・類語 こ・ける【転・倒】 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙 [ 文語形 ]こ・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙① 倒れる。ころがる。ころぶ。すべる。[初出の実例]「河原を走ればおのづから石車に乗りてこけたるは」(出典:御伽草子・弁慶物語(室町時代小説集所収)(室町末))② それる。はずれる。[初出の実例]「又今日もこけたそうだと諷の師」(出典:雑俳・川柳評万句合‐明和七(1770)礼三)③ 下の方へ滑り移る。ころげ落ちる。[初出の実例]「底には大石(たいせき)ながれこけて、若(もし)も渡りかかる人は、足をうたれ」(出典:仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)三)④ ある人に心が傾く。ほれる。恋慕する。[初出の実例]「こくる 是もほるる心なり。〈略〉是は物を立置て引に、我おもふやうにこなたへこくるやうの心なり」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一)⑤ ある物事に心が向かう。ある傾向の態度をとる。[初出の実例]「斯(かふ)したことなれば、斯心を得るやうにせうと云方へこけてゆきたがる」(出典:絅斎先生敬斎箴講義(17C末‐18C初))⑥ 芸妓などが男に身を許す。[初出の実例]「なんぼ、わたしがやうな芸子でも、さふ安ふはこけぬわへ」(出典:洒落本・箱まくら(1822)上)⑦ 芝居が当たらなくて客の入りがわるい。転じて、ものごとが失敗する。[初出の実例]「立ってある芝居をこけたとはいかに、歯もいらずにかぶりつきといふがごとし」(出典:二篇おどけむりもんどう(1818‐30頃か))⑧ ( 「こげる」とも ) 悲境、不遇零落の生活をすることをいう隠語。〔特殊語百科辞典(1931)〕[初出の実例]「冗談言うない。いくらコゲ(零落)たって、スケコマシ(女を売り飛ばす)をするような俺じゃねえ」(出典:いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例